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今月の特集記事【新春特集】第五次対中投資ブーム到来か

第五次対中投資ブーム到来か

今般、新しい「中華人民共和国外資系銀行管理条例」が2015年1月1日から施行され、外資系銀行の人民元業務の認可について大幅な緩和が実施されることが明らかになった。従来、中国で開業が認められた外資系銀行は、まず外貨業務(外貨預金、外貨送金・決済、外貨融資)からスタートし、3年以上経て、かつ2年以上の黒字が確認されてからでしか人民元業務はできないというルールになっていた。

新しいルールによれば、こうした規制が大幅に緩和され、人民元業務は支店開設後1年で申請ができることとなった。この結果、前年2年以上の黒字という条件も削除された。地方銀行を始めとした金融機関にとって大きな朗報と言えよう。

中国では貿易決済資金などの経常項目に於ける外貨資金については自由に人民元に交換ができるが、融資のような資本項目の資金については基本的に人民元への交換ができなかった。これは、投機的資金の流入を抑えるための国策であり、株式市場などについてもQFII(適格海外機関投資家)、QDII(適格国内機関投資家)、或いは2014 年11月17日から始まった滬港通制度のように、かなり限られた範囲でのみ人民元への交換が保証されていたことも同じ趣旨による。以前のルールによれば、地方銀行は仮に中国にある自行の取引先に人民元ニーズがあったとしても人民元建て融資を行うことは極めて困難であり、この制度では下の図にある通り地方銀行は中国国内にある金融機関に保証を差し入れて現地子会社に人民元融資を依頼することが一般的であった。これはスタンドバイLC方式と言われ、地方銀行が現地の中国銀行などの金融機関に保証を差し入れ、中国の銀行は地方銀行のリスクで対象子会社に人民元融資をする方式である。

 

中国に支店を持たない地銀による人民貸出

 

しかしながら、この方式では貸出銀行(中国国内の銀行)が自行の人民元融資を先行させることから、確実に融資が受けられる保証は無く、また、金利についても貸し手優位であることから一般的に高めの金利を要求されることが多かった。加えて、親会社が支払う保証料を考慮すればかなり割高な資金調達をせざるを得ない状況にあった。地方銀行サイドに立っても、こうしたことによって自行の取引先の資金ニーズに応えることができない上に、下手をすれば顧客をメガバンク、或いは他行に取られる、というリスクもあった。

では地方銀行は早く支店を出して3年後に人民元業務の申請をすれば良いではないか、という考えもあるかも知れない。しかし、ことはそう簡単では無い。というのも、地方銀行の取引先で、かつメガバンクとの繋がりの無い取引先というものはそれ程多いわけではなく、既に進出している取引先は基本的にメガバンクの現地支店に口座を持ち、外貨融資も受けているケースが多い。加えてシステム導入、店舗の確保、職員の確保などに於いては相当な初期投資、及びランニングコストがかかる。不動産賃貸料の高騰に加え、金融機関の現地スタッフの職員は売り手市場で、給与は年々上がっており、今や現地スタッフの給与の方が職位によっては派遣日本人スタッフより高いという現象が起こっている。そういう状況下で支店を出しても黒字化することは容易ではない。人民元については金利の規制があることから、融資を行うとかなりの利鞘が稼げるが、外貨ではそうはいかない。その結果、支店を出して外貨のみの営業をして2年間の黒字を得てから人民元業務の申請という現在の制度では事業化の目途がつかないのが実情だ。多くの地方銀行が現地に支店を出してこなかったことはこうした制度上の障害があったためである。

これに対し、新しい制度ではよりシンプルな形でローンを組むことができる(下図参照)。このスキームでは、基本的に銀行は本支店の関係であることから、顧客現地子会社のリスクについては本店が見ており、金利や資金の流動性についてもかなりの部分、顧客ニーズを満たすことが可能になる。開業後、1年でこうした業務が可能になるのならば支店化についての事業化計画もかなり明確に判断ができるようになるであろう。

 

現地地銀支店からの人民元貸出

 

今次制度変更による影響は単に中堅中小の外資系金融機関にとっての朗報、というだけの意味合いに留まらない。すなわち、地方銀行が中国への進出を計画することによって、その地方の中堅中小企業も中国進出がやりやすくなるという点がより重要な意味を持つのである。地方銀行が中国に進出すれば、それまでややもすると敷居の高かったメガバンクではなく、地元の金融機関から直接、中国の様々な情報を入手することが可能となる。恐らく、地方銀行も彼らの進出を更にバックアップしようとするであろう。実際に地方銀行が支店を開設し、更に人民元業務を開始するのはまだ2年以上の時間を必要としている。しかしながら、今回の制度変更はこうした変化を起こすに足りるインパクトのある改正と言える。第一次対中投資ブーム(1985年~87年)、第二次(1991年~95年)、第三次(2000年~05年)、第四次(2008年~2011年)に続く第五次対中投資ブームの到来が視野に入っている。


(常務執行役員・情報本部長 細井靖)

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