新規口座開設はこちらから

ホームトレードはこちらから

今月の特集記事【特集2】2010年香港・中国本土市場のIPO動向 香港IPO調達額が2年連続で世界一に(2/1)

香港市場


◆銀行や保険会社の大型IPOを背景に(中国農業銀行とAIAの2社が全体での約56%を占めた。具体的には、両社の調達額はそれぞれ935.2億香港ドル、1,590.8億香港ドル)、2010年の香港市場IPO資金調達額は前年比約79%増の4,449.7億香港ドルと、香港市場としての過去最高となったほか、取引所別世界ランキングでも2年連続で首位となった(下表を参照)。

◆IPOが好調だったほか、新株発行増資による資金調達も2009年に比べて2.9%増の4,051.4億香港ドルと、2年連続で過去最高を更新した。その結果、IPOと新株発行増資を合わせた資金調達額は8,501億香港ドルとなり(2009年の6,421億香港ドルを上回り過去最高を記録)、取引所別ランキングでは世界2位に浮上した(2009年は第4位)。

◆香港・深セン・上海三市場の2010年IPO資金調達額合計は1,308億米ドルと、欧米主要三市場合計(NYSE Euronext(US)・ロンドン・ナスダック)の621億米ドルに比べ、2倍以上の調達実績となった。

IPO・新株発行増資による資金調達、IPOによる資金調達証券取引所別時価総額世界ランキング◆2010年末の香港市場時価総額は2兆7,113億米ドルに達し、取引所別では世界7位となった。香港主要株価指数の2010年パフォーマンスは世界的に見て上位に入るものではなかったものの(ハンセン指数とレッドチップ指数はそれぞれ5.3%高、2.7%高となった一方、H株指数は0.8%の小幅安)、IPO市場の活況を背景に時価総額は年間で17%拡大した。

◆2010年の香港IPO件数(資金調達を伴わない紹介上場7社、GEMからメインボードへの市場替え12社を除く。以下同)は計94社で(メインボード87社、GEM7社)、2009年(64社)に比べ約5割増加した。2010年第3四半期までで1ヶ月当たり3〜4銘柄のペースだったが、第4四半期に入り、重慶農村商業銀行(03618)、長沙中聯重工科技発展(01157)をはじめとした本土企業の上場が相次ぎ、月次件数は10月18社、11月11社、12月14社とIPOラッシュとなった。

香港上場の中国系企業数の推移2010年香港IPO資金調達額トップ10◆現地メディアの報道によると、中国企業による海外市場でのIPO調達額は2010年の1年間で300億米ドル超となった。上場先別には、引き続き香港が大半を占めており(香港に上場している本土系企業は昨年末時点のメーンボードとGEMの合計で592銘柄、うち72銘柄が2010年上場で、資金調達額は約2,200億HKDであった)、他には、米国市場に計43銘柄(資金調達額は前年比8割超増加)、ロンドン市場に7銘柄、シンガポールに11銘柄(シンガポール市場IPO件数の1/3相当)などとなっている。

2010年香港メインボードIPO(計87銘柄)のパフォーマンス◆2010年のH株IPO(6銘柄)資金調達額は約1,384億香港ドルと、全体の3割に止まった。6銘柄のパフォーマンスは新天緑色能源(公募価格割れ、上場日終値は初値に比べ約10%安)と中国大唐新能源(同、1.3%と小幅安)を除き、上場初日はいずれも小幅高となった。

◆中国系民営企業では、ベビーカーの製造・販売を手掛ける好孩子国際控股(01086)の応募倍率が1,400倍超に達し、最も人気を集めた。

◆中国本土系企業以外の海外企業の香港上場が増えている。非本土系海外企業上場の資金調達額は2000年から2010年までの累計で372億米ドルとなっており、このうち2010年実績の246億米ドルがトータルの7割を占めている(具体例としては、AIA、アルミ世界大手のUCルサール(ロシア)、日系プラスチック成型用金型メーカー、友成機工の現地法人である友成控股(00096)などがある)。

◆一方、2010年末にかけて、中国本土の金融引き締めや欧州財政不安などを背景に、上場直前に延期を決める企業も出始めている(長甲地産、藍星安廸蘇、中国汽車系統、中国新材、華能新能源、龍翔集団など)。

2011年香港IPO予定の主要銘柄と資金調達見込み額

◆2011年香港市場IPO調達額は3,000億〜4,000億香港ドルに上る見通し。大手監査法人アーンストアンドヤングの予想では、100件を超すIPOの資金調達総額は4,000億香港ドル超に達する可能性があるという。プライスウォータハウスクーパースも、IPO件数110以上、資金調達額3,000億〜3,500億香港ドルを予想している。企業タイプ別には、広東・福建省の民営企業、A株既上場の企業が引き続き中心となる見込みで(背景には、昨年12月の香港取引所上場規則の見直しを経て、中国本土で設立された企業は、中国会計基準による目論見書の作成や財務報告の継続開示が認められるようになった)、本土を除くその他海外企業の上場も二桁に達する可能性がある。

◆香港上場予定の本土企業では、中国鉄路物資のほか、南方基金、新華人寿、泰康人寿、北京農村商業銀行、上海農村商業銀行なども名を連ねている。

◆また、検討中の人民元建て香港IPOに関しては、長江実業(00001)傘下の不動産投資信託(REIT)のスピンオフ上場(予想資金調達額は約100億香港ドル)が第1号となる見込み。 

 

中国本土市場

◆2010年の上海総合指数は年間で14.3%の下落となった。一方、上海・深セン両市場のIPO調達額は過去最高の4,910億元(前年比+161.4%)と香港を加算しなくても国別では世界最大となった。セクター別には資本財(調達額全体に占める割合は約22.9%)、銀行(同18.4%。中国農業銀行の上場があったため)、素材(同10.9%)、テクノロジー・ハードウェアおよび機器(同7.2%)などが上位を占めた。IPOのほか、新株発行増資(186社)による資金調達総額も5,176億元と前年比65.5%の増加となった。

◆2010年の本土市場IPO件数は349件に上った。内訳は上海取引所が28件、深セン取引所が321件(中小企業ボード204社、創業企業ボード=ChiNextが117社)。上海での大型国有企業・金融機関のIPOがほぼ一巡したことなどから、IPO件数及び調達額では深センが上海を大幅に上回った(IPO件数ベースで深センが上海を凌駕したことは史上初めてのことである)。

◆相場が軟調に推移している中でのIPOラッシュということもあり、A株IPOの平均パフォーマンス(上場日終値vs.公募価格。09年実績は+55.24%)は+41.90%と、A株市場にしては歴史的な低水準となった。上場日に公募価格割れとなったケースは2010年で全体の7.4%に相当する26件しかなかったが、今年に入り公募価格割れが続いていることから、A株市場のIPO不敗神話に疑問を抱く声も増えている。

◆大手監査法人プライスウォーターハウスクーパースの予想では、2011年の本土市場IPOは全体で320件以上、資金調達額は4,000億元超となる見通し。企業別には、引き続き中小企業のIPOが市場の牽引役となろう。

 

2010年中国本土市場IPO資金調達額上位10社

(上海事務所 張、尹、黄)

ご投資にあたっての注意事項

手数料等およびリスクについて

  • 株式の手数料等およびリスクについて
  • 国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大1.2075%(税込み)(約定代金が260,869円以下の場合は、3,150円(税込み))の手数料をいただきます。国内株式を募集、売出し等により取得いただく場合には、購入対価のみをお支払いいただきます。
  • 国内株式は、株価の変動により、元本の損失が生じるおそれがあります。
    外国株式等の売買取引には、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対して最大0.8400%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
  • 外国株式は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。
  • ETF(上場投資信託)は、連動する株価指数等の変動により、投資元本を割り込むおそれがあります。
  • 投資信託の手数料等およびリスクについて
  • 投資信託のお取引にあたっては、申込(一部の投資信託は換金)手数料をいただきます。投資信託の保有期間中に間接的に信託報酬をご負担いただきます。また、換金時に信託財産留保金を直接ご負担いただく場合があります。
  • 投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なるため、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
  • 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該金融商品市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価格が変動し、元本の損失が生じるおそれがあります。

利益相反情報について

  • 本レポートを掲載後、掲載された銘柄を対象としたEB等を当社が販売する可能性があります。

ご投資にあたっての留意点

  • 取引や商品ごとに手数料等およびリスクが異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をご覧ください。
  • この資料は、東洋証券が各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。
    また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点の見通しであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。
    本資料に基づき投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、当社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなされるようお願い致します。
    なお、東洋証券及び同関連会社の役職員又はその家族はこの資料に掲載されている企業の証券を保有する可能性、取引する可能性があります。
    この資料の著作権は東洋証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。
PDFファイル形式のニュースをご覧になる場合は、Adobe Readerをインストール頂く必要がございます。
Adobe Readerダウンロードページへ