米政府、新型肺炎対策方針転換か
3/30-4/3の米国株式市場は、値動きの荒い展開が続くが、矢継ぎ早にでる政策が相場を下支えか。
トランプ大統領は4月のイースターまでには経済活動再開を目指すとしている。新型肺炎の流行が7、8月まで続くとの見解が示されていたことを踏まえると、4月中旬からの経済活動回復は比較的早期での経済活動の制限の終了かと思われる。大統領の思惑通りに経済活動が正常化できるかは依然として不透明ではあるが、経済活動を制限するという方針が見直されれば、本格的な景気後退への突入という最悪シナリオは回避できる可能性が高まりそうだ。
需給面でもクアドルプル・ウィッチング(指数や株のオプションや先物の期日)を通過し、一部のオプションに絡んだヘッジ取引による売り圧力は多少緩和されそうだ。
重要経済指標について
重要経済指標の発表が相次ぐ。3月ISM製造業景況指数(4/1)や同ISM非製造業景況指数(4/3)、同雇用統計(4/3)などの発表が予定されている。新型肺炎の拡大が本格的に始まった時期に当たるため、経済指標への注目度が高まりそうだ。PMIのサービス業の落ち込み具合から見ると、ISM非製造業への影響が気になるところだ。また新型肺炎で先行する中国の3月のPMIの発表もあり、回復度合いが注目されそうだ。週末の雇用統計は12日を含む週が調査対象期間となっているため、足もとの米国の雇用環境の悪化を十分織り込めていない可能性があるだろう。
新型肺炎対策はさらに強化された印象
3/23にFRBは資産買入の規模を必要なだけ買うと方針を転換し、従来の7000億ドルの買入計画から一段と買入を強化する方針のようだ。性格的には2012年に実施されたQE3に近づいてきたと思われる。クレジット市場への対策も実施しており、ある程度必要とされる施策は出てきているような印象を受ける。一方、財政政策は2兆ドルにもなる大規模な新型肺炎対策が与野党で合意された。執筆時点では議会を通過していないが、報道では殆どの大人のアメリカ人への一人1200ドル、子供一人に500ドルの支給や雇用を維持に努める小規模ビジネスへの貸出と雇用を維持した場合返済を免除するプログラムへの3670億ドルの拠出、5000億ドルの新型肺炎の影響の大きい産業向けの貸出プログラム等が含まれるようだ。2008年の金融危機後の経済対策予算(約7000億ドル)を遥かに上回りそうだ。
(3/27朝記マーケット支援部 藤本)