値動きの荒い展開継続か
3/23-3/27の米国株式市場は、値動きの荒い展開を想定。VIX指数はリーマンショック以来の水準で、ボラティリティの上昇を受けポジション調整を余儀なくされた投資家は多くいると思われる。また、ブリッジウォーターの旗艦ファンドが約2割の損失を出しているとの報道もあり、ポジションの清算圧力は依然として続くと思われる。
3月のNY連銀製造業景況指数は-21.5と大幅に悪化。新規受注、出荷、雇用などがマイナス圏に沈んでおり、新型肺炎の蔓延が米国の製造業に影響を与え始めている様子が見て取れる。ナイキ(NKE)やアップル(AAPL)、スターバックス(SBUX)などに一部店舗を閉鎖する動きがあり経済活動への影響が懸念される。足元の株式の急落は新型肺炎の蔓延による深刻な景気後退懸念を織り込みにいっている状況かと思われる。
ただ、4月にはギリアドサイエンシズ(GILD)の中国での臨床結果がでると言われており、良い結果がでれば俄かに出口が見え始める可能性もあるだろう。日本では高齢で症状が重篤な米国人14人が「レムデシビル」で症状が改善したとの報道もあり、限られたデータではあるが期待が持てそうだ。
また、中国では富士フィルムの「アビガン」の有効性が確認されたと報道もあり、効果の信憑性が高まれば出口も見え始めるだろう。
対策が見え始めた
FRBの資産買入の規模はエージェンシーMBS(不動産担保証券)(2000億ドル)と米国債(5000億ドル)合わせて7000億ドルの買入を計画している。過去の量的緩和と規模を比較するとQE2(量的緩和第2弾)を若干上回る規模となっている。またCP(コーマーシャルペーパー)の買入措置と米財務省の100億ドル規模の信用保証を発表しており、企業の資金調達環境にも配慮を行った。過去の量的緩和実施期間は相場の上昇期間と重なっており、一定程度相場を支える効果はあるものと思われる。また、財政政策も1兆ドル超規模の財政政策を検討しており、うち5000億ドルが家計に支払われる。2500億ドルずつ2段階に分け配られるとのこと。これには航空産業向けに500億ドル、小規模ビジネス向けやその他の用途に5000億ドルが含まれると報道されている。規模はリーマンショック時の景気刺激策の約7870億ドルを上回っている。足元は不安定な相場環境だが必要な施策は出てきた印象だ。
(3/18記マーケット支援部 藤本)