値動きの荒い展開継続か
3/16-3/20の米国株式市場は、値動きの荒い展開を想定。3/20にはクアドルプル・ウィッチング(株式と指数のオプションや先物の4つの期日が重なる日)やS&P500のリバランスが予定されており、オプションや需給に絡んだ商いで値動きが荒くなるだろう。ボラティリティが高水準で、リスク管理の観点上ポジションの圧縮を余儀なくされている投資家もいると思われ、彼らの売りが収束するまで、不安定な値動きが継続しよう。ただ、S&P500は既に約26%調整し、値ごろ感は出てきていると思われる。また、ギリアドサイエンシズ(GILD)は新型肺炎治療薬の第三相臨床試験(三段階の臨床試験の最後)を開始したと発表(2/26)しており、中国での結果は4月には得られる予定。治療薬の進捗には注目していきたい。
過去の下落局面との比較
リーマンショック後、米国株は何回かきつめの株価の調整を経験している。期間の取り方によって、若干変化率に違いはあるものの、これまでの下落では、約2割の下落率が一つの目安だったと言えそうだ。一方で今回の調整では、3/12までにすでに約26%調整しており、リーマンショック後最大の下落率となっている。下落率からみると値ごろ感は出てきたものと思われる。これまでの調整期間は、高値から底値を付けるまで例外はあるが約2~3カ月程度の期間を要しており、日柄面からいくと、もう暫く調整期間は必要だと思われる。
企業の信用リスクも意識される
原油の急落を受け、エネルギー関連企業のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が急騰している。加えて、投機的格付けの企業は勿論、投資適格の企業のCDSも上昇しており、企業の信用リスクに神経質になり始めている模様。短期金融市場の引き締まり具合を示すLIBOR-OISスプレッドを見ると、今回の株式急落を受け急騰しているものの、水準はリーマンショックの時よりかなり低水準で、まだ金融システムに問題が波及している状況とは言えないだろう。しかし、今後大幅に上昇した場合、リーマンショックのような事態も否定はできないため、注視したい。
3/17-18のFOMCでの追加利下げは金利市場に既に織り込まれている状況だが、株式市場は結果を受けての失望売りがメインシナリオとなるかの様な値動きとなっており、材料出尽くしとなる可能性もあるだろう。
(3/13朝記マーケット支援部 藤本)