1/13-1/17の米国株式市場はじり高の展開を想定する。
年明けの2日、NYダウは投資資金が流入し、28,872.80ドルまで上昇する場面も見られた。ただ、その後は米国によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害を受け、中東情勢の報道に右往左往する展開となった。
米国株は昨年末、継続的に上昇してきたため、中東情勢の緊迫化は、利益確定売りの口実になったと思われる。ただ、米国の原油の中東依存が大きくないことやイラン、米国ともに武力衝突を望んでいないと思われることから、米国経済への影響は限定的と思われ、ポジションの買い戻しなどが相場を支える可能性もありそうだ。

米国により殺害されたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官は、イラクの親イラン派民兵組織を影響下に置き、米軍攻撃を主導していたとされ、これが殺害の背景かと思われる。
原油市場などへの影響が注目されるが、米国は2018年時点で世界最大の産油国。輸入先をみても、カナダが約半分を占めており、イランが仮にタンカーを拿捕するような事態等に陥っても米国の経済に与える影響は限定的だと思われる。
加えて、イランの報復攻撃による米軍の犠牲者はいなかったと報道されており、イランによる攻撃は形ばかりの可能性が高いと思われる。米国、イランともにこれ以上の軍事的な対決は望んでいないと思われ、想定以上に早く事態が収束に向かえば、米株にとってはプラス材料だろう。

12月のISM製造業景況指数は47.2と市場予想49.0を下回った。米中合意によって同指数の持ち直しが期待されていたが、低調な内容だった。新規受注や生産の回復の遅れの背景にはボーイングの737MAXの問題が関連している可能性もあるようだ。ただ、同月のISM製造業の顧客在庫指数は41.1まで低下し、在庫調整が進んでいる様子も見てとれる。持ち直しに期待したい。
(1/9記マーケット支援部 藤本)