ラブコールが届いた
10/8、世界最大の半導体生産受託会社であるTSMC(台湾積体電路製造)がソニーグループと共同で、日本国内熊本県に半導体新工場を建設する計画の大枠を固めたと伝わった。
2019年の東京大学とTSMCとのアライアンスの実現以来の大きな動きは、日本の半導体産業の復活のきっかけとなるのだろうか。
凋落の歴史
「産業のコメ」と称される半導体だが、日本勢の躍進が目立っていた。かつては。
1940年代に半導体を発明したのは米国だが、1980年代には日本は半導体製造分野での超大国の地位にあった。クリーンルームといった概念の発明や、通信機器や大型コンピュータが市場のメインであったこともあり、日本勢が熱心に研究開発を行った賜物としての品質の高さが比較優位性の原動力となった。
一方、市場のメインがパソコンとなってからは潮目が変わった。各社独自のパソコンからIBMの標準機になったこともあり、半導体は「いかに高品質なものを造るか」から「いかに安いものを造るか」へ競争の軸足がシフトした。現場ではこうしたいわゆる「過剰品質の問題」への対処に動いていたようだが、構造的要因に依る投資意思決定の遅れ(米国による圧力もあったが)もあり、品質は低いがとにかく安い新興勢の勢いに圧され、日の丸半導体は文字通り凋落した歴史を有しているのだ。
復権に待った無し
(マーケット支援部 山本)