6/20~6/24の中国市場はボラティリティが上昇する局面があるとみられるものの、基本的には上昇基調を維持しよう。
上海や北京では都市封鎖の解除直後にもかかわらず、新型コロナの新規感染者数が増加し、政府は上海と北京の一部地区で人の移動を制限しPCR検査を実施した。政府は慎重に都市封鎖解除を進めているものの、都市封鎖に対する懸念は残る。また、足元ではインフレ懸念等から米国等の海外株式市場が不安定化しており、それが香港市場を中心に中国株式市場に影響を与えることも考えられる。
一方、6/15に発表された5月の経済指標は、概ね市場予想を上回った。鉱工業生産は前年同月比0.7%増(4月同2.9%減)と、市場予想では減少が予想されていたにもかかわらず増加へ転じた。また、都市封鎖による行動制限の影響を受けやすい小売売上高は、同6.7%減(4月同11.1%減)と、市場予想(同7.1%減)よりも小幅な減少幅にとどまった。外食は引き続き不振ながら、新エネ車の販売台数が政府の支援策もあり前年同月の2倍以上となり、小売売上高の約1割を占めるとみられる自動車販売を牽引した。中国景気は予想を上回るピッチで持ち直しているようだ。
企業向け中長期融資が伸び悩んでいることもあり、6/20には政策金利である最優遇貸出金利が引き下げられる可能性がある。中国株市場は景気持ち直しを確認しながら上昇基調を維持しよう。
(6/15記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
大族激光科技産業集団(ハンズ・レーザー・テクノロジー)(深センA・002008/ Z8666)
◆22年1~3月期、拠点とする深センで都市封鎖の影響を受けたものの、同社の売上高は前年同期比8.3%増、営業利益は同5.6%増と底固く推移
◆研究開発に注力し、21年の開発費用は売上の8.5%と高い。主要部品である高出力ファイバーレーザーの内製化率は21年に80%を超え、最高出力は20年の15KWから30KWに達した。それを搭載した加工設備の出荷量も前年より倍増
◆カーボンニュートラル事業を拡大。21年通年と22年1~5月期の中国新エネ車販売台数は前年同期より共に2倍以上増加。同社の21年の車載用電池向け装置の売上は前年の7倍以上と急伸。22年の新規注文は前年比50%以上増加すると予想
(投資情報部 呉)
上海璞泰来新能源科技(シャンハイ・プータイライ)(上海A・603659/Z9023)
◆負極材の世界シェア24.4%で業界トップ(20年売上高ベース)。寿命が長く急速充電に有利とされ中国負極材市場の8割以上を占める人造黒鉛タイプに強み。同分野の21年シェアは20.0%で6年連続首位
◆22年1~3月期は前年同期比80.0%増収、同90.3%増益と好調。生産拡大に伴う出荷増が売り上げを後押し。粗利益率は同0.96pt上昇の38.73%
◆新エネ車の販売好調を受け、リチウムイオン電池の主要部材である負極材は需給がひっ迫気味。22年の中国全体の負極材出荷量は前年比72.2%増の124万トンに達する見通し。市場拡大に対応するため、同社は年産能力を現在の15万トン(21年)⇒25万トン(23年)に引き上げる計画
(上海駐在員事務所 山藤)