20日の香港株式市場は大幅に続伸した。ハンセン指数の終値は前日比824.50pt(3.41%)高の24,952.35ptと約2カ月ぶりの高値だった。取引開始前に中国人民銀行(中央銀行)が実質的な政策金利などを引き下げたのを受け、朝方から幅広い銘柄に買いが入った。中国の不動産業界の資金繰り支援につながる規制緩和観測や、アジア時間20日午後の米株価指数先物の上昇も支援材料となり、指数は午後に上げ幅を拡大。この日の高値で引け、上昇率はおよそ1年半ぶりの大きさとなった。中国ネット大手が軒並み買われ、出前アプリの美団(03690)が同11%高。ネットサービスのテンセント(00700)も急伸した。半面、業績悪化への警戒から音響部品の瑞声科技控股(AACテクノロジーズ、02018)が急落し、石油株も下げた。中国石油天然気(ペトロチャイナ、00857)は、子会社の取引不正も嫌気された。香港メーンボードの売買代金は1783億香港ドルで、前日から5割超増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで65億4500万香港ドルの買い越しだった。
20日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比313ドル26セント(0.9%)安の34,715ドル39セントで終えた。米長期金利の上昇一服を背景に、ハイテク株などには買いが先行した。買い一巡後は景気敏感株を中心に売りが膨らみ、ダウ平均は下落に転じた。取引終了にかけては連日で売りが強まり、下げ幅を広げる展開となった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落。終値は前日比186.235pt(1.3%)安の14,154.020ptと昨年6月以来の低水準で終えた。
21日の香港株式市場でハンセン指数は安寄り後もみ合いか。米国株式市場下落の流れを受け、売りが先行しそうだが、割安感が株価の下支えとなろう。
(マーケット支援部 林)
確りの展開か
20日の中国・上海株式市場は小幅に続落した。上海総合指数の終値は前日比3.1167pt(0.08%)安の3,555.0629ptだった。前日の米市場など海外でのハイテク株安が投資家心理を冷やし、ハイテク関連に売りが出た。半面で中国人民銀行(中央銀行)が朝方、実質的な政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げたことは相場を支えた。指数は終日、前日終値を挟み一進一退の展開だった。メディア株が軒並み下げ、バイオ関連や新エネルギー株も売られた。利下げは想定内との見方もあって、不動産株の一角も下落した。一方で金融株が全面高となった。空運株が高く、金鉱株も上昇した。利下げを受けて海外投資家の売買が活発化し、海外投資家の人気銘柄である酒造の貴州茅台酒(600519)も3%上げた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで125億7600万元の買い越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンイェー・イービン、000858)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、興業銀行(インダストリアル・バンク、601166)などが売り越しとなった。
21日の中国本土市場は確りの展開か。当局が実質的な政策金利を引き下げたことによる景気改善への期待から、買いが継続しそうだ。
(マーケット支援部 林)