17日の香港株式市場でハンセン指数は続落した。終値は前週末比165.29pt(0.67%)安の24,218.03ptだった。前週末のダウ工業株30種平均の下落を受け、朝方から売りが出やすかった。午前に発表の中国の2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP)の伸びは市場予想を上回ったものの、前の四半期からは鈍化し、中国景気の減速懸念が投資家心理の重荷となった。中国の21年12月の小売売上高が弱含んだことで、火鍋の海底撈国際控股(06862)など消費関連も多くが売られた。テンセント(00700)をはじめとする中国のネット関連株も軟調だった。半面、マカオのカジノ株は急伸した。カジノ条例案の発表で業界の先行き不透明感が後退したとの受け止めが買い材料となった。香港メーンボードの売買代金は1053億香港ドルと、3日以来の低水準だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで14億5600万香港ドルの買い越しだった。
18日の香港株式市場でハンセン指数は上値が重い展開か。目新しい材料が見当たらない中、方向感を掴みづらい動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 林)
確りの展開か
17日の中国・上海株式市場は反発した。上海総合指数の終値は前週末比20.4101pt(0.57%)高の3,541.6660ptだった。中国人民銀行(中央銀行)が政策金利の引き下げに動くとの観測が強まり、投資家が運用リスクをとる姿勢を強めた。人民銀は17日、市中銀行に1年間の短期資金を融通する中期貸出ファシリティ(MLF)と、7日後の売却条件付き債券購入(リバースレポ)の金利を引き下げた。20日に発表を控える実質的な政策金利の最優遇貸出金利(LPR)は、MLF金利に基づいて設定するとされている。17日に発表が相次いだ中国の主要統計では、2021年12月の小売売上高が市場予想を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国国内消費の低迷も、当局が金融緩和によって景気下支えに動くとの期待につながった。証券株が高く、ソフトウエアや電子部品、半導体関連株の上げも目立った。自動車関連や不動産、軍需関連株が上昇した。半面、海運や観光関連株が安く、非鉄金属や大手銀行株が軟調だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで17億600万元の買い越しだった。個別では、用友網絡(ヨンヨウ・ネットワーク・テクノロジー、600588)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)などが買い越しとなり、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ、600276)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが売り越しとなった。
18日の中国本土市場は確りの展開か。中国の習近平国家主席が世界経済フォーラム(WEF)主催のオンライン会議の演説で、中国の経済発展に完全に自信を持っているとしたことにより、市場センチメントが改善しそうだ。また、習近平主席が中国共産党の機関紙でデジタル経済の規制とガバナンスを改善して「不健全な」発展を防ぐよう主張したことから、デジタル経済関連銘柄に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 林)