1月17日から1月21日の中国株式市場で、中国本土市場は方向感に乏しい展開、香港市場はしっかりの展開を想定する。
中国株式の主要リスクである不動産会社の債務不履行問題については、一部不動産会社の債務不履行が続いている一方で、資産売却や返済資金の獲得も進んでいるよう。金融当局も銀行に不動産向け融資の強化を指示していると伝わっており、不動産問題は悪化ばかりではないようだ。1月17日発表予定の10~12月期実質GDP成長率は、20年の新型コロナの感染拡大期を除くと、四半期ベースGDPの発表を始めた92年以来、最低の成長率になると予想されている。政府はコロナ対策として春節期間(1月31日~2月6日)の移動自粛を既に要請しているほか、北京冬季五輪・パラリンピックに向け空気清浄化のために周辺の一部工場の稼働も停止されるため、目先は景気下振れの可能性があろう。中国景気の持ち直しは早くとも北京冬季五輪後とみられ、本土市場は方向感に乏しい展開となりそうだ。
香港市場は、1月12日までの年初来騰落率が+4.3%と、主要市場では最も良いパフォーマンスとなった。その背景として、①香港市場の割安感、②米国市場の不安定化、③中国のインフレ懸念の後退による金融緩和の観測拡大、④ネット規制のピークアウト期待、⑤中国本土マネーの持続的な流入などがあげられよう。米国の金融引き締めが意識され、世界的に株価のボラティリティが高まる中、割安感のある香港市場は比較的しっかりとした動きが期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)
今週の主なスケジュール
17日(月)
◆10~12月期の中国GDP(国家統計局)
◆12月の中国鉱工業生産、同小売売上高、1~12月の都市部固定資産投資(国家統計局)
◆世界経済フォーラムのオンライン会議(21日まで)
◆休場=米国(キング牧師生誕日)
18日(火)
◆OPEC月報
◆休場=マレーシア(タイプーサム)
20日(木)
◆12月の豪雇用統計(統計局)
◆マレーシア中銀が金融政策発表
◆トルコ中銀が金融政策発表
◆バイデン米大統領就任1年
21日(金)
◆ラガルドECB総裁が世界経済フォーラムのセッション参加