10日の香港株式市場でハンセン指数は前日比253.16pt(1.08%)高の23,746.54ptとなった。中国経済対策の期待感が相場を支える流れ。国内景気の鈍化懸念がくすぶる中、当局は景気テコ入れに動くとの見方が広がった。先週は、デベロッパーに対する融資規制が緩和されるとの観測が流れた。資金繰り難の不動産企業は、国有企業などに資産売却をしやすくなると伝わった。また、ネット企業に対する監督管理の強化など、産業統制の動きもそろそろ一巡すると楽観された。「ニューエコノミー」関連銘柄が急伸。オンライン医療サービスの京東健康(JDヘルス、06618)が同11.6%高、医療サービス企業の阿里健康信息技術(アリババヘルス、00241)が同10.8%高、ショート動画投稿アプリの快手科技(クワイショウ、01024)が同10.1%高と値を上げた。医薬品セクターも高く、デベロッパーや管理サービスの不動産セクターも上げが目立った。 半面、発電や設備の電力セクターはさえなかった。香港メーンボードの売買代金は1387億4650万香港ドルとなった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで31億5700万香港ドルの買い越しだった。
10日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前週末比162ドル79セント(0.4%)安の36,068ドル87セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを前倒しするとの観測が投資家心理の重荷だった。午前中には一時600ドル近く下げたが、米長期金利の上昇が一服するとハイテク株が買い直され、下げ渋った。ハイテク株比率が高いナスダック指数は5営業日ぶりに小反発し、前週末比6.926pt(0.04%)高の14,942.828ptで終えた。
11日の香港株式市場でハンセン指数はもみ合いか。米国株式市場下落の流れを受け、売りが先行しそうだが、割安感が株価の下支えとなろう。
(マーケット支援部 林)
確りの展開か
10日の中国・上海株式市場は5日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前日比13.98pt(0.39%)高の3,593.52ptだった。新型コロナウイルス感染拡大の影響が懸念された。天津市では、新型コロナ変異ウイルス(オミクロン)の感染者が初めて確認され、9日から約1400万人の市民を対象にPCR検査が始まった。感染が集中した地区では、ロックダウンが導入され、工場などの一時操業停止も余儀なくされている。一方で、デベロッパーに対する融資規制が緩和されるとの観測を受け、業種別では、不動産の上げが目立った。医薬品株、インフラ建設関連株、資源・素材株、消費関連株、金融株の一角なども買われた。半面、発電株は安く、半導体株、海運株も売られた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで47億5800万元の買い越しだった。個別では、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、珠海格力電器(グリー・エレクトリック・アプライアンシズ・オブ・ヂューハイ、000651)などが売り越しとなった。
11日の中国本土市場は確りの展開か。新型コロナウイルス感染拡大の懸念が高まっているが、中国当局が減速する経済の下支えに向け、地方政府特別債の発行を加速し効果的な投資拡大を支援する方針を示したことが報じられており、経済回復への期待による買いが入りやすい動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 林)