12日の香港株式市場は4営業日ぶりに反落した。ハンセン指数の終値は前日比362.50pt(1.43%)安の24,962.59ptだった。前日の米株安や中国の電力供給不安を受け、朝方から幅広い銘柄に売りが出た。中国当局による金融機関と民間企業の調査が伝わり、規制強化への懸念も相場の下押し要因になった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は同3.18%安だった。一部社債の債務不履行の可能性を前日発表した新力控股(02103)や、経営不安が続く中国恒大集団(03333)など不動産株の一角は売買停止が続いた。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は前日比16%減の1369億香港ドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで20億7800万香港ドルの買い越しだった。
12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比117ドル72セント(0.3%)安の34,378ドル34セントで終えた。重要な米経済指標や主要企業の決算発表を13日以降に控え、様子見ムードが強かった。その中で国際通貨基金(IMF)が世界と米国の経済成長率の予想を下方修正し、景気敏感株を中心に売りを誘った。ハイテク株は顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムなど一部のソフトウエア銘柄は買われたものの、総じて売り優勢だった。12日の米長期金利は1.56%まで低下する場面があったが、インフレ観測を背景に金利先高懸念が強い。来年のDRAM価格の下落観測が伝わった半導体株も下げた銘柄が多かった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落し、前日比20.275pt(0.1%)安の14,465.925ptで終えた。一方、9月の中国出荷台数が過去最高だったと伝わった電気自動車のテスラは上昇した。
本日の香港株式市場は台風警報が発令中。警報解除の時間により、香港市場の取引開始時刻が遅延予想。また、解除の時間次第では終日取引中止(注文受付停止)となる場合も。明日は、重陽節に伴う休場日。
よって本日は、取引が開始されても薄商いが想定される。米経済指標などの発表を控えていることや明日も休場になるため、模様眺めの一日となりそうだ。
(マーケット支援部 床井)
敏感株中心に売り優勢か
12日の中国・上海株式市場は続落した。上海総合指数の終値は前日比44.7725pt(1.24%)安の3,546.9362ptだった。資源高や中国国内の電力不足に対する警戒感から、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは11日、習近平(シー・ジンピン)指導部が国有銀行などの金融機関と民間企業との関係性を調査していると報じた。当局の規制強化懸念も根強く、12日の香港株式相場が中国大手ネット株を中心に下落していることも投資家心理の重荷となった。週内に9月の貿易統計や物価統計の発表を控え、投資家の様子見姿勢は強かった。上海と深セン市場の売買代金は合計で9965億元と、前日から小幅に増えたが、2日連続で節目の1兆元を下回った。証券や鉄鋼、軍需、非鉄金属株が安い。電力などの公益株や石油関連、化学、電子部品関連株が売られた。半面、自動車や観光関連株の一角が買われた。酒造株が堅調だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで13億7900万元の売り越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ、600276)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、歌爾(ゴーテック、002241)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は続落か。世界景気の減速懸念の高まりを受け、景気敏感株中心に売りが優勢となろう。また、本日に中国9月貿易統計、明日に同消費者物価指数の発表を控えていることで様子見ムードも強まろう。ただ、原油の上昇が一服していることは支えとなりそうだ。
ストックコネクト取引は、本日は現地ルールにより注文受付停止。
(マーケット支援部 床井)