11日の香港株式市場でハンセン指数は3日続伸した。終値は前週末比487.24pt(1.96%)高の25,325.09ptと心理的な節目の25,000pt台を回復し、9月14日以来およそ1カ月ぶりの高値を付けた。中国人投資家の投資意欲が堅調との見方が買い安心感を誘った。ただ、香港独自の買い材料には乏しかった。ストックコネクト取引を通じた中国本土投資家による香港株売買が連日で買い越しとなり、中国人投資家に人気が高いとされる中国ネット株の先高観につながった。中国電子商取引(EC)最大手アリババ集団(09988)と中国出前アプリの美団(03690)が急伸し、上昇率はそれぞれ約8%となった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」も大きく上げ、同3.17%高の6,403.69ptで終えた。原油高を受け資源株も総じて買われた。香港のメーンボードの売買代金は1629億香港ドルと、前週末(1633億香港ドル)からやや減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで20億8800万香港ドルの買い越しだった。
11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比250ドル19セント(0.7%)安の34,496ドル06セントで終えた。原油など商品相場の上昇を背景とした長期金利の先高観は根強く、午後に入り持ち高調整の売りが膨らんだ。今週に決算発表を控える大手金融に売りが出たことも相場全体の重荷となった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前週末比93.337pt(0.6%)安の14,486.200ptで終えた。長期金利の先高観から、ハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄への売り圧力が強まりやすかった。
12日の香港株式市場でハンセン指数はもみあいか。ストックコネクト取引を通じた中国本土投資家の買い越しスタンスは投資家心理の支えとなろうが、高値警戒感が意識される銘柄を中心に利益確定売りが優勢となりそうだ。
(マーケット支援部 林)
方向感に乏しい展開か
11日の中国・上海株式市場は3営業日ぶりに小幅に反落した。上海総合指数の終値は前週末比0.4579pt(0.01%)安の3,591.7087ptだった。米中両政府が貿易協議を再開して対外懸念がひとまず緩和したほか、国内での電力不足解消に向けた施策も好感され買いが先行した。もっとも中国景気の先行き不透明感や中国当局の規制不安は依然根強い。指数は午後に下げに転じ、その後は前週末終値の近辺で方向感を欠いた。石油や医薬、電機が安い。鉄鋼や小売株も下げた。半面、銀行と保険が買われ相場を支えた。自動車や不動産、石炭株の一角も高い。酒造はまちまちだった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで1億8800万元の買い越しだった。個別では、美的集団(ミデア・グループ、000333)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、江蘇恒瑞医薬(ジァンスー・ヘンルイ・ファーマシューティカルズ、600276)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
12日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。11日の上海と深セン市場の売買代金は合計で9921億元。前週末から小幅に減り再び節目の1兆元を下回り、全体的に商いが細った。原油や石炭などの上昇が続いており、製造業がコスト上昇圧力に直面している。方向感を掴みづらい動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 林)