10日の香港株式市場は大幅に反発した。ハンセン指数の終値は前日比489.91pt(1.90%)高の26,205.91ptと、この日の高値で引けた。中国本土と香港との金融商品の相互取引が開始されるとの期待から、金融株の上昇が目立った。中国当局によるゲーム産業への規制強化懸念が後退し、前日に急落したハイテク銘柄にも買いが入った。米中の両首脳が電話協議したとの発表も、投資家心理の支えとなった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数も大幅に反発し、2.86%高で終えた。香港地場の東亜銀行や保険のAIA、香港取引所などの金融株が高い。中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)や出前アプリの美団、中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団といったネット大手株も総じて上昇した。香港メーンボードの売買代金は1498億香港ドルと、前日から1割ほど減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで6億5500万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比271ドル92セント安の34,607ドル46セントで終えた。新型コロナウイルスの感染拡大で米景気の回復が鈍化するとの懸念に伴う売りがこの日も続いた。スマートフォンのアップルが大幅に下落するなど、ダウ平均は取引終了にかけて下げ幅を広げる展開だった。新型コロナの感染拡大を理由に足元、年後半の米経済成長率見通しを引き下げるエコノミストが相次いでいる。景気動向を占う上で、16日発表の8月の小売売上高などの経済指標の内容を見極めたい市場関係者も多く、買いを見送るムードが強かった。
13日の香港株式市場でハンセン指数は米株安の流れを引き継ぎ売りが先行か。10日のNY市場でダウ平均は271ドル安と5日続落した。ワクチン接種進展による経済活動正常化期待から買いも入ったが、米8月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回り、早期テーパリング懸念が高まったことでほぼ安値引けとなった。また、ハンセン指数は前週末に買い戻されて反発し、心理的節目の26,000ptを回復して終値は前日比1.91%高となったこともあり、利益確定売りが広がりそうだ。
(マーケット支援部 松川)
当局による統制強化への懸念も引き続き相場の重し
10日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前日比9.9807pt(0.27%)高の3,703.1103ptと心理的な節目の3,700ptを上回り、2015年8月19日以来およそ6年1カ月ぶりの高値を付けた。朝方は売りが先行したが、米中首脳の電話協議で投資家心理が上向き、次第に買いが優勢となった。半導体関連や海運株が高い。酒造や非鉄金属、セメント、観光関連株も買われた。半面、商品相場の下落を背景に石油や石炭など資源関連株が安い。ハイテク株の上場が多い上海の新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は4営業日ぶりに反発し、1.75%高だった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆5439億元と前日(1兆4321億元)から1割近く増えた。売買代金の1兆元超えは38日連続となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで36億1900万元の買い越し。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、などが買い越しとなり、珠海格力電器(グリー・エレクトリック・アプライアンシズ・オブ・ヂューハイ、000651)、などが売り越しとなった。
13日の中国本土市場では中国当局による統制強化への懸念も引き続き相場の重しとなりそうだ。ロイター通信は10日、中国当局のIPO審査について、変動持ち株事業体(VIE)構造を持つ企業の香港上場も審査対象に含まれると報じた。また、中国当局は同日、プラットフォーム企業である美団(03690)、アリババ集団(09988)、テンセント(00700)など10社に対し、新しい雇用モデルの下で働く従業員の権益を保護するよう行政指導しており上値の重しとなりそうだ。
(マーケット支援部 松川)