9日の香港株式市場でハンセン指数は大幅続落。終値は前日比604.93pt(2.29%)安の25,716.00ptと心理的な節目の26,000ptを割り込み、8月30日以来の安値を付けた。中国当局の規制強化懸念が再燃し、テンセント(00700)をはじめネット大手が急落した。中国不動産の中国恒大集団の債務問題も投資家心理を冷やし、指数は午後に一段安となった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数の終値は同4.52%安の6,560.39ptだった。テンセント(00700)は同8.5%安。中国当局がゲーム企業を呼び出したとの報道を受けて朝から売られていたが、午後に入り中国政府が新作ゲームの承認を一時停止すると伝わると下げ幅を広げた。中国電子商取引(EC)最大手アリババ集団(09988)も同6%近く下落するなど、中国のネット株全般に売りが広がった。香港のメーンボードの売買代金は1659億香港ドルと、前日(1521億香港ドル)から1割弱増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで6億7200万香港ドルの買い越しだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比151ドル69セント(0.4%)安の34,879ドル38セントで終えた。35,000ドルを割り込んだのは8月19日以来。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大による米景気の回復鈍化懸念が売りを誘った。バイデン米政権が薬価引き下げの包括案を発表し、製薬株が売られたのも相場の重荷となった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比38.383pt(0.3%)安の15,248.254ptで終えた。
10日の香港株式市場でハンセン指数は落ち着き処を探る展開か。ネット株の動向が地合いを決める流れとなりそうだ。昨日大きく売り込まれたテンセント(00700)だが、ストックコネクト取引では22.21香港ドルの買い越しとなり、下がったところを中国マネーが拾う動きもあったようだ。米国上場のADRは香港市場の終値比2.5%高で取引を終了しており、同社株が底堅い動きとなれば、全体相場も持ち直しの動きが期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)
経済対策への期待が支える展開は継続か
9日の中国・上海株式市場は反発した。上海総合指数の終値は前日比17.9431pt(0.48%)高の3,693.1296ptだった。引けにかけて上げ幅を広げ、年初来高値(3,696.1680pt)を付けた2月19日以来およそ7カ月ぶりの高値で終えた。商品相場の上昇を背景に資源や素材関連株が買われ、相場を押し上げた。9日に発表された8月の中国の物価統計では、資源高を受けて「川上」から「川中」の業種で価格上昇が目立った。一方で、最終消費財への価格転嫁の遅れも目立った。企業収益の圧迫につながるとの懸念から、朝方は売りが先行する場面もあった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆4321億元と、節目の1兆元を37日連続で上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで26億1500万元の買い越し。個別では、新疆特変電工(TBEA、600089)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが買い越しとなり、歌爾(ゴーテック、002241)、宝山鋼鉄(バオシャン・アイロン&スチール、600019)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)などが売り越しとなった。
10日の中国本土市場は、小確りの展開を想定。9日に発表された8月の中国物価統計を受け、市場の一部には卸売物価の高騰が川下産業の圧力になるとの見方があるよう。一方で、中国人民銀行(中央銀行)による中小零細企業への資金繰り支援策が伝わるなど、相応の対策も打ち出されている印象だ。政策期待が支える流れは続くと思われ、上海総合指数は、利益確定売りをこなしながら、年初来高値更新を窺う動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)