18日の香港株式市場でハンセン指数は続伸。終値は前日比242.68pt(0.84%)高の28,801.27ptと、11日以来1週間ぶりの高値を回復した。米長期金利の低下を背景としたグロース(成長)株買いの流れが相場を支えた。ネット大手のほか、電気自動車(EV)や太陽光発電関連といった新技術事業を手掛ける銘柄を物色する動きが強まった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は前日比1.77%高の8,041.45ptで終え、上昇率はハンセン指数を上回った。電気自動車(EV)関連株が高く、太陽光発電関連株、光学部品関連株、医薬品関連株の上昇も目立った。一方で、米金融緩和の縮小に対する懸念はくすぶり、金融株や不動産株はさえなかった。香港のメーンボードの売買代金は2055億香港ドルと節目の2000億香港ドルを上回り、5月下旬以来の高水準だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで11億6800万香港ドルの買い越しだった。
18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落となり、前日比533ドル37セント(1.6%)安の33,290ドル08セントと約2カ月半ぶりの安値で終えた。米連邦準備理事会(FRB)が利上げ開始を前倒しするとの観測が強まった。金融緩和の縮小が想定以上のペースで進めば、景気を抑制し、株式市場への資金流入が細りかねないとみた売りが広がった。ダウ平均は1週間(6月14日~18日)で1189ドル下げ、週間では今年最大の下落幅となった。今年に入り、景気回復の加速を見込んで買われてきた景気敏感株への売りが目立ったほか、米債券市場では利回り曲線の平たん化が進み、利ざや縮小の懸念で金融株が大きく下げた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比130.974pt(0.9%)安の14,030.376ptで終えた。
21日の香港株式市場でハンセン指数は反落か。前週末18日の米株式市場でダウ工業株30種平均など主要株価指数が下落した流れが波及し、香港市場でも主力銘柄を中心に売りが優勢となりそうだ。半導体不足で華為(ファーウェイ)の高性能スマホ新モデルの年内投入見送りの可能性が伝わっており、電子部品等、関連銘柄への影響が懸念されよう。一方で、インターネット通販の年央セール「618」が好調だったと伝わっており、ネット通販関連には注目が集まる場面もありそうだ。
(マーケット支援部 井上)
軟調な展開か
18日の中国・上海株式相場は小幅に反落した。上海総合指数の終値は前日比0.5074pt(0.01%)安の3,525.0968ptだった。人民元高の一服を受け、中国本土への資金流入が鈍化するとの見方から、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。週末を控え、持ち高調整の売りも出やすかった。一方で、複数の欧米メディアは18日に米政府がバイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の会談を検討していると報じ、米中対立の懸念後退は投資家心理の支えとなった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆101億元と前日から約1割超増え、節目の1兆元を上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで10億3900万元の売り越し。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、歌爾(ゴーテック、002241)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、北京兆易創新科技(ギガ・デバイス・セミコンダクター、603986)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
18日の中国本土市場は軟調な展開か。中国現地メディアが20日に伝えたところによると、広東省の深セン市と東莞市はこのほど、新型コロナウイルスのデルタ変異株(インド型)の市中感染者が見つかったことを受け、市内住民に不要不急の外出や省市をまたぐ移動を極力控えるよう呼び掛けた。人流を抑え、感染力の強いデルタ株の感染拡大を封じ込める狙いがあるようだ。中国の国家衛生健康委員会は同日、新型コロナウイルス用ワクチンの国内接種が累計で10億回を超えたと発表したものの、予防効果や変異株への対応に不透明さが残る格好となっており、投資家心理への影響が懸念されそうだ。
(マーケット支援部 井上)