10日の香港株式市場は小幅に7日続落。ハンセン指数の終値は前日比3.75pt(0.01%)安の28,738.88ptだった。7日続落は2015年12月に9日続落して以来となり、終値では2週ぶりの安値となった。米中協議の進展期待から戻りを試したものの、中国が外国の制裁措置に報復する法案の可決が伝わると、対外関係の悪化を警戒する売りに押された。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1340億香港ドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで16億2900万HKドルの売り越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比19ドル10セント(0.1%)高の34,466ドル24セントで取引を終えた。朝方発表の5月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想以上に上昇したが、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を急ぐほどではないとみなされた。米長期金利が低下し、高PER(株価収益率)銘柄が多いハイテク株を中心に買われた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数の終値は前日比108.583pt(0.8%)高の14,020.333ptと、4月29日以来の14,000pt台乗せとなった。機関投資家が運用の参考にするS&P500種株価指数は前日比19.63pt高い4,239.18ptで終え、1カ月ぶりに過去最高値を更新した。
11日の香港市場でハンセン指数は高寄り後もみ合いか。ハンセン指数は足もと7日続落となっており、10日の米国株式市場の上昇を受け、ハイテク株中心に自律反発狙いの買いが先行しよう。本日から13日まで主要7カ国首脳会議(G7サミット)が英国で開かれる予定。今回のG7では、中国の広域経済圏構想「一帯一路」への対抗策も議論されるもよう。香港、中国本土市場は端午節による連休前ということもあり、高寄り後はG7の内容を見極めたいといったムードが強まる可能性もあろう。昨日堅調だった太陽光や風力などエコ発電関連銘柄の動向に注目したい。
(マーケット支援部 井上)
端午節連休前に旅行関連に注目が集まる場面も想定しておきたい
10日の中国・上海株式相場は続伸した。上海総合指数の終値は前日比19.4625pt(0.54%)高の3,610.8590ptと、心理的な節目の3,600pt台を回復し、1日以来の高値を付けた。取引時間中の人民元相場が対米ドルで堅調に推移したほか、香港とのストックコネクト取引を通じた海外投資家の売買(ノースバウンド取引)が買い越しとなり、海外からの資金流入期待が強まった。これまで下落が目立っていたハイテク株に買いが入り、指数を押し上げた。海外投資家に人気が高く時価総額の大きい貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)が上昇したことを受けて主力銘柄を買う動きが広がり、銀行株や鉄鋼株の一角に買いが増えた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆22億元と前日(8810億元)から1割増えた。ストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで68億2100万元の買い越し。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)などが買い越しとなり、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、科大訊飛(アイフライテック、002230)京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)などが売り越しとなった。
11日の中国本土市場は確りの展開か。海外市場でハイテク株が買われた流れ受け、ハイテク株中心に堅調な動きとなろう。明日から始まる端午節の3連休では、旅行者数が延べ1億人に上るとの予測もあるようだ。広東省を中心に新型コロナがややぶり返しているため、実際はやや少ない可能性もあるが、市民の旅行熱は高まっていると言えよう。関連銘柄に注目が集まる場面も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)