9日の香港株式市場でハンセン指数は小幅に6日続落した。終値は前日比38.75pt(0.13%)安の28,742.63ptと、5月24日以来およそ2週間ぶりの安値を付けた。6日続落は2019年9月以来の長さとなる。香港域内の新規の手がかりが乏しいなか、米国で10日発表予定の5月の消費者物価指数(CPI)を見極めたいとの様子見ムードが強く、持ち高調整の売りが優勢となった。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1163億香港ドルと、5月上旬以来の低水準だった。投資資金が株式市場から債券や不動産に流出しているとの見方から、不動産株は全面高。半面、米長期金利の低下を背景に、金融株が売られた。香港の公益株や中国の医薬品株も軟調だった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」の終値は同0.11%安の7,972.09ptだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで10億7100万香港ドルの買い越しだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比152ドル68セント(0.4%)安の34,447ドル14セントで終えた。5月7日につけた過去最高値(34,777ドル)が近づき、高値警戒感から売りが優勢だった。当面の金融政策を占う上で注目される5月の米消費者物価指数(CPI)の発表を10日に控え、取引終了にかけて持ち高調整の売りも出た。一方、長期金利の低下で高PER(株価収益率)のハイテク株の一角が買われ、相場を下支えした。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比13.161pt(0.1%)安の13,911.750ptで終えた。
本日の香港株式市場は上値の重い展開か。日本時間10日夜に5月の米CPIの発表を控え、これを見極めたいとの思惑が投資マネーを慎重にさせよう。
(マーケット支援部 床井)
模様眺め、上値の重い展開か
9日の中国・上海株式相場は反発した。上海総合指数の終値は前日比11.2902pt(0.31%)高の3,591.3965ptだった。中国国家統計局が9日発表した中国の5月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比9.0%上昇した。市場予想を上回り、2008年9月以来の伸び率となった。一方で、同月の消費者物価指数(CPI)は予想を下回った。中国当局が政策の引き締めに動くとの懸念は過度には高まらず、投資家心理の支えとなった。もっとも心理的節目の3,600ptに迫る場面では短期的な利益確定目的の売りも出て上値を抑えた。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は同0.58%高だった。深セン株式市場の総合指数は同0.14%高、新興企業が主体の創業板指数は同0.02%安となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで28億1400万元の買い越しだった。個別では、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
本日の本土株式市場も香港市場同様上値の重い展開を想定する。5月の米CPIの発表に注目が集まっており、模様眺めとなりそうだ。
(マーケット支援部 床井)