13日の香港株式市場でハンセン指数は3営業日ぶりに反発。終値は前日比43.97pt(0.15%)高の28,497.25ptだった。新型コロナウイルスワクチンの普及で香港を含む世界景気の回復が進むとの期待が相場を支え、香港や欧米の銘柄中心に買いが入った。香港政府が飲食店の収容人数や中国本土との往来をめぐる防疫措置の緩和方針を示し、香港景気の回復期待に結びつき、香港の不動産株が買われたほか、香港の公益株も高かった。傘下の金融会社アント・グループが金融持ち株会社移行を発表した中国電子商取引(EC)最大手アリババ集団(09988)は続伸した。一方、ハイテク銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は前日比1.59%安の8,038.81ptだった。中国政府によるネット企業の管理強化への警戒がくすぶり、中国出前サイトの美団(メイトゥアン、03690)が急落した。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1428億香港ドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで12億3800万香港ドルの買い越しだった。
13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比68ドル13セント(0.2%)安の33,677ドル27セントで取引を終えた。米当局が米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J、JNJ)製の新型コロナウイルスワクチンの接種を中断するよう勧告した。ワクチン普及による経済正常化への期待が後退し、景気敏感株を中心に売りが優勢となった。ただ、金融緩和の長期化観測が支えとなり、売り一巡後は下げ渋った。13日発表の3月の米消費者物価指数は前年同月比2.6%上昇と市場予想を0.1ポイント上回った。インフレ傾向が強まっているが、市場では「米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和姿勢を変えるほどではない」と受け止められ、債券市場で長期金利が低下し、ハイテク株など高PER(株価収益率)株の買い安心感につながった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比146.100pt(1.1%)高の13,996.099pt、多くの機関投資家が運用の参考とするS&P500種株価指数は反発し、同13.60pt(0.3%)高の4,141.59ptと過去最高値を更新して終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は上値の重い展開か。米国の金利低下は好材料と思われるものの、中国の引き締め懸念が引き続き相場の上値を抑えそうだ。また、今週16日の1~3月の中国GDP成長率発表を前に、様子見ムードが高まれば、買い手控え要因となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
決算内容などをもとに個別銘柄を選別物色する動きが強まろう
13日の中国・上海株式相場は3日続落した。上海総合指数の終値は前日比16.4777pt(0.48%)安の3,396.4700ptと、節目の3,400ptを下回り、3月25日以来の安値を付けた。12日夕に発表した中国の3月末時点の現預金総額(M2)の伸びが2月から鈍化し、緩和的な金融政策が正常化に向かうとの思惑を誘った。午前発表の3月の貿易統計は堅調な内容だったが、景気改善の継続はむしろ政策期待の後退につながった。上海と深センの売買代金は合計で前日より13%少ない6714億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで84億7100万元の買い越しだった。個別では、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)、歌爾(ゴーテック、002241)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、順豊控股(S.F.ホールディング、002352)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
14日の中国本土市場は神経質な展開か。米国の金利低下が支援材料となる可能性がある一方で、中国の金融引き締め懸念の高まりが足かせとなろう。また、週末の中国GDP発表を控え、様子見ムードの強まりも想定され、決算内容などをもとに個別銘柄を選別物色する動きが強まろう。
(マーケット支援部 井上)