12日の香港株式市場は続落。ハンセン指数の終値は前週末比245.52pt(0.85%)安の28,453.28ptだった。中国の独占禁止当局がアリババ集団(09988)に高額な罰金を科したのを受け、ほかのIT(情報技術)大手にも反独占調査が本格的に入るとの警戒感が強まった。中国本土株や米株価指数先物の下落も重荷となり、幅広い銘柄に売りが優勢となった。ハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」も続落し、前日比1.64%安い8,169.50ptとなった。ネットサービスのテンセント(00700)や出前アプリの美団(メイトゥアン、03690)、検索エンジンの百度(バイドゥ、09888)など、特に中国で市場シェアが高いネット銘柄に売りが目立った。半面、アリババ集団は悪材料出尽くしとの見方から6%超上昇した。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1607億香港ドルと、前週末から13%増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで25億3200万香港ドルの売り越しだった。
12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に4営業日ぶりに反落し、前週末比55ドル20セント(0.2%)安の33,745ドル40セントで取引を終えた。新型コロナウイルスに対するワクチンの普及で経済活動の再開が進むとの見方から、ダウ平均は前週に過去最高値を更新していた。短期的な過熱感が意識されたうえ、主要企業の決算発表の本格化を控えて持ち高調整の売りも出やすかった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に3営業日ぶりに反落し、前週末比50.186pt(0.4%)安の13,849.999ptで取引を終えた。
13日の香港市場でハンセン指数は神経質な展開か。中国の金融引き締めや米中対立の先鋭化に対する懸念が引き続き重荷となりそうなほか、中国本土市場や米株価指数先物の時間外取引の動向を睨みながらの動きとなりそうだ。本日は中国の3月貿易統計が発表される予定。ドル建ての輸出入はともに前回から伸び率増加予想されているが、現在の市場は好調な経済指標を中国の金融引き締め懸念に繋げて捉える傾向もあるため、発表後の反応に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
落ち着き処を探る展開か
12日の中国・上海株式相場は続落した。上海総合指数の終値は前週末比37.7295pt(1.09%)安の3,412.9477ptと、3月25日以来の安値を付けた。新規の手がかりが乏しいなか、この日の香港株式相場などの下落を受け投資家心理が悪化した。深セン株が大幅安となったほか、海外のハイテク株売りの流れも波及し、指数は午後に下げ幅を拡大した。深セン成分指数の終値は前週末比2.29%安の13,495.717pt、深センの新興企業向け市場の創業板指数の終値は同2.27%安の2,719.953pt、上海の新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」の終値は同2.19%安の1,243.4959ptと、いずれも下落率は2%を超え、ハイテク株などを好む個人投資家の心理が悪化しているとの見方につながった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は7756億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで43億400万元の買い越し。個別では、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)などが買い越しとなり、順豊控股(S.F.ホールディング、002352)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)などが売り越しとなった。
13日の中国本土市場は落ち着き処を探る展開か。昨日はハイテク関連銘柄の下げが目立ち、個人投資家心理が悪化しているとの見方が広がった。中国のハイテク企業については、2021年に入り「科創板」市場で88社が上場手続きを取りやめたと伝わったほか、アリババ集団への巨額罰金で中国政府が締め付けに動いていると懸念する向きもあるよう。米中対立への警戒感もある中、神経質な展開が続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)