19日の香港株式市場は5営業日ぶりに反落。ハンセン指数の終値は前日比414.78pt(1.41%)安の28,990.94ptと、節目の29,000ptを割り込んだ。18日の米長期金利の上昇による米ハイテク株安に加え、アジア時間19日に始まった米中外交トップの会談が非難の応酬となり、投資家心理が悪化した。ハンセン指数は18日までの4日間に2.3%上げており、目先の利益を確定する売りに押された。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は4日ぶりに反落し、前日比1.44%安だった。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は前日比18%増の2061億香港ドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで32億5700万香港ドルの売り越しだった。
19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比234ドル33セント(0.7%)安の32,627ドル97セントで取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が新型コロナウイルス危機に対応して導入した銀行の資本規制の緩和を延長しないと発表し、投融資への影響が懸念された金融株が下げた。一方で、前日に長期金利の上昇で売られたハイテクなどグロース(成長)株には押し目買いが入った。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比99.067pt(0.8%)高の13,215.235ptで終えた。
22日の香港市場でハンセン指数は一進一退の展開か。19日の米国市場でダウ工業株30種平均が下げた流れを引き継ごう。一方で、ハンセン指数は19日に前日比1.41%安となっており、米ナスダック総合株価指数の反発を好感しハイテク株中心に自律反発狙いの買いが優勢となれば、しっかりとした動きも期待できよう。今週は、23日に百度(BIDU、09888)が香港市場にセカンダリー上場する予定。決算発表では、23日に吉利汽車控股(ジーリー・オートモービル・ホールディングス、00175)、同程藝龍控股(トンチェンーイーロン・ホールディングス、00780)、快手科技(クァイショウ、01024)、海底撈国際控股(ハイディーラオ、06862)、24日に金蝶国際軟件集団(キンディー・インターナショナル・ソフトウェア、00268)、テンセント(00700)、小米集団(シャオミ、01810)、安踏体育用品(アンタスポーツ、02020)などがそれぞれ20年12月期決算を発表予定となっている。
(マーケット支援部 井上)
米中の気候変動問題協力模索姿勢が環境関連銘柄の見直し買いに繋がるか注目
19日の中国・上海株式相場は反落した。上海総合指数の終値は前日比58.4047pt(1.68%)安の3,404.6634ptだった。米長期金利上昇への警戒感や原油安を受け、19日の主要なアジアの株価指数が軒並み下落したことを受け、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、大型株を中心に売りが出た。アジア時間19日に開かれた米中の外交トップによる直接会談で、双方が人権問題などを巡って激しい非難の応酬を繰り広げたことも投資家心理の重荷となった。上海総合指数は一時前日比2.1%安まで下げたが、心理的節目の3,400ptを下回る場面では押し目買いも入り、下げ渋った。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は前日比0.80%安で終えた。深セン成分指数は前日比2.56%安、新興企業が主体の創業板指数は同2.80%安。上海と深セン市場の売買代金は合計で7721億元と、前日から約5%増えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで40億3100万元の売り越し。個別では、順豊控股(S.F.ホールディング、002352)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
22日の中国本土市場は落ち着き処を探る展開か。19日に終了した米アラスカ州アンカレジで行われていた米中外交トップによる初の直接会談では、米中の主張は香港の統制強化や新疆ウイグル自治区での人権侵害をはじめとする主要議題をめぐり平行線をたどり、対立が鮮明になったよう。一方で、気候変動問題など利益が重複する分野で協力を模索していく姿勢を確認したと伝わった。株式市場で環境関連銘柄の見直し買いに繋がるか注目したい。
(マーケット支援部 井上)