3日の香港株式相場は大幅に反発した。ハンセン指数の終値は前日比784.56pt(2.69%)高の29,880.42ptだった。指数が約1カ月ぶりの安値圏にあるため、自律反発狙いの買いが優勢となった。前日の相場の重荷となった中国の利上げ観測の後退も、買い安心感が広がった。
中国の金融監督当局である中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席が2日の記者会見で「貸出金利が今年上昇する見通し」との見解を示したのを受け、利上げ観測から相場が前日に大きく下落した。ただその後、市場では「市場金利の話で、政策金利の引き上げを示唆しているわけではない」(上海の証券会社)との見方が広がり、金融引き締めへの警戒感が和らいだ。ハンセン指数を構成する52銘柄は48銘柄が上昇し、4銘柄が下落した。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は1.17%高の9,366.51ptだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、合わせて成約ベースで57億4700万香港ドルの買い越しだった。
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比121ドル43セント(0.4%)安の31,270ドル09セントで終えた。新型コロナウイルスのワクチン普及への期待から買いが先行したが、米長期金利の上昇でハイテク株への売りが膨らんだ。ナスダック総合株価指数が大幅安となるにつれ、ダウ平均も取引終了にかけて下げに転じた。ただ、ワクチン普及で経済活動の正常化が進むとの期待は根強い。バイデン米大統領は2日、「5月末までに米国の成人全員分のワクチンを確保できる」と述べた。恩恵を受ける旅行・レジャー関連銘柄が買われ、航空機のボーイングが高い。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスも上昇した。原油高を背景に石油のシェブロンが上げ、長期金利上昇による利ざや拡大の思惑からJPモルガン・チェースなど金融株も買われた。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に続落し、前日比361.035pt(2.7%)安の12,997.752ptと約2カ月ぶりの安値で終えた。
本日の香港株式市場は、前日の米国株式相場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が下落した流れを引き継ぎ、香港市場でもハイテク株を中心に売りが出て指数を下押ししそうだ。ただ、そのほかには売る材料も見当たらないため、売り一巡後は景気敏感、バリュー株を中心に買いが入り指数の下値を支える展開となろう。
(マーケット支援部 床井)
政策関連銘柄を物色する展開か
3日の中国・上海株式相場は反発した。上海総合指数の終値は前日に比べ68.3133pt(1.94%)高の3576.9045ptと、2月25日以来の高値だった。中国の国政助言機関である全国政治協商会議(政協)が4日に、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日に開幕する。中国の重要な政治イベントを前に、政策期待が相場を押し上げた。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」も反発し、前日比0.54%上げた。前日は金融リスク回避のための当局の監督強化が警戒されたが、3日は早期の金融引き締めはないとの見方が広がり、投資家心理の支えとなった。深セン市場で深セン総合指数、新興企業向け市場の「創業板」指数はともに反発し、それぞれ前日比1.30%、同1.04%上げた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで90億1000万元の買い越しだった。個別では、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)、中国平安保険(ピンアン・インシュアランス、601318)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、江蘇恒瑞医薬(ジァンスー・ハンルイ・メディシン、600276)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は下値の堅い展開か。明日開幕予定の全国人民代表大会を前に政策を期待した買いが先行しそうだ。外部環境が不安定なため全体的に上値を伸ばしにくいものの、個別銘柄が物色される展開となりそうだ。
(マーケット支援部 床井)