2日の香港株式市場でハンセン指数は反落。終値は前日比356.71pt(1.21%)安の29,095.86ptだった。朝方は前日の米株高を好感する買いが先行したが、香港時間2日の中国・上海株や同日午後の米株価指数先物の下落を受け、投資家心理が弱気に傾いた。ストックコネクト取引を通じた中国本土の投資家による売買が売り越しとなったことも、中国本土からの資金流入が鈍化しているとの警戒を誘った。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は午後に下げに転じ、終値は前日比0.43%安の9,257.99ptだった。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は2327億香港ドルと、前日(2092億香港ドル)から1割強増えた。
2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比143ドル99セント(0.5%)安の31,391ドル52セントで終えた。ダウ平均が前日に603ドル高と4カ月ぶりの上げ幅を記録した後とあって、目先の利益を確定する売りが優勢だった。主要ハイテク株が総じて下げ、投資家心理を冷やした。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比230.042pt(1.7%)安の13,358.787で終えた。
3日の香港市場でハンセン指数は上値の重い展開か。米国市場で主要指数が下落した流れを受け、売り先行のスタートとなろう。また、中国金融監督機関トップの発言を受け、当局による金融リスクの対策強化懸念から中国本土市場が不安定な動きとなっていることも警戒材料として意識されよう。ハンセン指数は、1月の安値である28,259ptを維持できるかがポイントになりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
落ち着き処を探る展開か
2日の中国・上海株式相場は反落。上海総合指数の終値は前日比42.8086pt(1.20%)安の3,508.5912ptと、2月5日以来約1カ月ぶりの安値となった。前日の米株高を支えに朝方は堅調だったものの、今後の経済運営目標を公表する全国人民代表大会(全人代)を控えており、内容を見極めたいとして次第に様子見ムードが強まる中で売りに押された。金融監督機関トップの発言も、当局による金融リスクの対策強化懸念を誘い、幅広い銘柄にリスク回避や持ち高調整の売りが出た。ハイテク新興企業の上場が多い科創板で上証科創板50成分指数は前日比0.44%下落。深セン市場では、深セン成分指数が同0.71%下げ、中小企業が中心の創業板指数は同0.93%安となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで67億9000万元の売り越し。個別では、美的集団(ミデア・グループ、000333)、瀘州老窖(ルーヂョウ・ラオジャオ、000568)、万華化学集団(ワンファ・ケミカル、600309)などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
3日の中国本土市場は落ち着き処を探る展開か。全人代の開幕を控えたタイミングで、金融監督機関トップの不動産バブルを懸念する発言等が伝わっており、ポジション調整の動きに左右されやすい地合いとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)