9日の香港株式市場は3日続伸。ハンセン指数の終値は前日比156.72pt(0.53%)高の29,476.19ptと、1月25日以来およそ2週間ぶりの高値となった。中国人民銀行(中央銀行)が8日に、穏健な金融政策を維持し、柔軟な政策運営で経済の回復とリスク回避のバランスを取る方針を四半期の金融政策実施報告で示したことを受け、過度な金融引き締めはないとの見方が相場の支えとなった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は4営業日ぶりに反発し、前日比2.1%高だった。中国本土市場との相互取引(ストックコネクト・サウスバウンド取引)が休止になったこともあり、香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1499億香港ドルと前日から19%減少した。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7営業日ぶりに小反落し、前日比9ドル93セント安の31,375ドル83セントで取引を終えた。ダウ平均は過去6日間で1,403ドル上昇し、前日には3週ぶりに過去最高値を更新しており、上昇をけん引してきた景気敏感株に利益確定売りが出た。一方、米民主党が単独で大型の経済対策を成立させるとの観測が買いを支えた。中小型株で構成する株価指数のラッセル2000は連日で過去最高値を更新。相場の過熱感が警戒されるなかでも、経済対策や新型コロナウイルスのワクチン普及で相場底上げが進んでいるとの見方もあった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、前日比20.055pt(0.1%)高の14,007.697ptと初めて14,000pt台に乗せて終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は方向感に乏しい展開を想定。春節(旧正月)の大型連休(香港は11日に半日立ち会い、12~15日が休場)を間近に控え、利益確定売りの増加や売買代金の減少が予想される。一方で、昨日は「巣ごもり消費」関連銘柄で、上場来高値を更新するものが目立ったほか、先週5日に上場したショート動画投稿アプリ「快手」を展開する快手科技(クアイショウ・テクノロジー、01024)が前日比15.7%高となるなど、個別銘柄を選別物色する動きが強まった。連休前に全体相場が動きづらい中、同様の流れは本日も続くと思われる。経済指標では、日本時間10時30分に中国の1月消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)が発表される予定となっている。
(マーケット支援部 井上)
連休後の先高期待が市場で広がりつつあることが支えとなろう
9日の中国・上海株式相場は続伸。上海総合指数の終値は前日比71.0423pt(2.01%)高の3603.4890ptと、心理的な節目の3,600ptを回復し、1月25日に付けた昨年来高値(3,624pt)に接近した。中国内外の景気回復期待が高まるなか、春節(旧正月)連休後の株式相場も堅調が続くとの観測が強まった。時価総額上位である酒造の貴州茅台酒がこの日も上場来高値を更新したことも投資家心理を上向かせた。上海総合指数はほぼ一本調子で上昇し、この日の高値圏で引けた。深セン株も続伸。深セン成分指数の終値は前日比2.36%高の15,630.565pt。新興企業向け市場の創業板指数は同1.71%高の3,334.242ptで取引を終えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで26億2400万元の買い越し。個別では、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、宜賓五糧液(ウーリャンイェー・イービン、000858)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、万華化学集団(ワンファ・ケミカル、600309)、京東方科技(BOEテクノロジー・グループ、000725)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は小じっかりの展開を想定。春節(旧正月)の大型連休(本土市場は11~17日が休場)を間近に控える中、様子見ムードの強まりも予想されるものの、連休後の先高期待が市場で広がりつつあることが支えとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)