14日の香港株式相場は反発した。ハンセン指数の終値は前日に比べ261.26pt(0.92%)高の28,496.86ptと、2020年1月20日以来ほぼ1年ぶりの高値だった。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)など中国のネット大手が、トランプ米政権による米投資家の投資禁止対象には追加されないとの報道を受け、好感した買いが入った。バイデン次期米大統領が14日に発表する予定の追加経済対策への期待も強く、ハンセン指数は大引けにかけて上げ幅を拡大した。テンセント、出前アプリの美団、アリババ集団のネット大手3銘柄でハンセン指数を289pt押し上げた。通信の中国移動や中国聯通、中国海洋石油(CNOOC)、英金融のHSBCが高い。20年10-12月期が増収だったスポーツ用品の安踏体育用品が買われた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで146億3400万香港ドルの買い越しだった。
14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比68ドル95セント(0.2%)安の30,991ドル52セントで終えた。バイデン次期大統領が14日夜に公表する追加経済対策への期待から買いが先行したが、取引終了にかけて下げに転じた。発表内容を見極めたいムードが広がったほか、長期金利の上昇を受けて主力ハイテク株への売りが重荷となった。
15日の香港市場でハンセン指数は反落して始まるか。米中対立の先鋭化を警戒する売りが出そうだ。米国防総省が14日、小米集団(01810)など9社を「コミュニスト中国軍事企業」リストに追加すると発表した。米国投資家は対象企業の株式購入ができなくなり、持ち分も売却することになる。前日のハンセン指数終値は2020年1月下旬以来、約1年ぶり高値を更新したとあって、利益確定売りが出やすい状況。また、バイデン米次期大統領が日本時間15日午前に追加経済対策を公表する見通しの上、中国の2020年10-12月期国内総生産(GDP)の発表を週明け18日に控え、市場で積極的な売買を見送る気分が強いと予想する。
(マーケット支援部 松川)
米国による対中制裁が投資家心理を冷やす展開か
14日の中国・上海株式相場は続落した。上海総合指数の終値は前日比32.7472pt(0.90%)安の3565.9046ptだった。指数がおよそ5年1カ月ぶりの高値圏にあり、短期的な過熱感から利益確定売りが優勢となった。
朝方に発表の中国の2020年12月の貿易統計は堅調な内容だったが、これを手掛かりとする買いは限られた。先週まで商品相場の上昇観測から買われていた江西銅業などの非鉄金属株が大幅安となった。時価総額の大きな酒造の貴州茅台酒をはじめ、食品株も売られた。春節(旧正月)に向け中国国内の新型コロナウイルスの感染が再拡大しかねないとの懸念もくすぶり、小売株や運輸株の一角にも売りが出た。
半面、上海の新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」が2.83%高の1447.2668ptとなるなど、ハイテク株に押し目買いが入った。 深セン成分指数も295.299pt(1.92%)安の15,070.128ptと続落した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで51億600万元の買い越しだった。個別では、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)、美的集団(ミデア・グループ、000333)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリ-・インダストリアル、600887)、江蘇恒瑞医薬(ジァンスー・ハンルイ・メディシン、600276)、などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、などが売り越しとなった。
中国国内の環境には、好悪材料が入り混じる状況。プラス材料としては、中国経済指標の上振れが挙げられる。14日公表された昨年12月の中国貿易統計では、人民元建て輸出が前年同月比10.9%増となり、事前予想(7.1%増)を上回った。半面、新型コロナウイルス感染が再び増加していることは不安材料となる。中国の国家衛生健康委員会は14日、新規感染が13日に138人に達したと発表した(12日は115人)。また、昨年4月以来、約9カ月ぶりに感染者の1人が死亡している。香港メディアは15日、中国で13日から14日昼までの間に新規感染者174人を確認したと報じた。
こうした中、本日の中国本土市場は上値の重い展開か。上述したように、米国による対中制裁の動きが投資家心理を冷やしそうだ。また、中国で週明けに、20年10-12月期GDP成長率や12月の各種経済統計(小売売上高や鉱工業生産など)が発表されることも気がかり材料として意識される場面もあろう。
(マーケット支援部 松川)