29日の香港株式市場は反発。ハンセン指数の終値は前日比253.86pt(0.96%)高の26,568.49ptだった。このところ売りが膨らんでいた中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団が7営業日ぶりに反発し前日比5.7%高となるなど、大型ハイテク株への買いが相場をけん引した。アジア時間29日の米株価指数先物が堅調に推移したことも、投資家心理を支えた。ハンセン指数を構成する52銘柄は27銘柄が上昇し、23銘柄が下落、横ばいは2銘柄。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に反発し、前日比2.59%高だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで72億7900万香港ドルの買い越しだった。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比68ドル30セント(0.2%)安の30,335ドル67セントで取引を終えた。追加経済対策の成立を好感した買いで前日に過去最高値を更新したこともあり、29日は短期的な利益確定売りが優勢だった。経済対策に盛り込まれた現金給付をさらに増額する案への期待が後退し、売りを招いた面もあった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比49.202pt(0.4%)安の12,850.221ptで終えた。
本日の香港市場で、ハンセン指数は反落か。昨日7営業日ぶりに反発したアリババ集団(09988)は米国市場でもADR(米国預託証券)が上昇しており、本日もニューエコノミー株の堅調展開が期待できそうだ。一方で、米国の対中制裁の余波が懸念される流れは継続か。米財務省は28日、米国の投資家による中国軍関連企業への投資を禁止する大統領令の運用指針を発表した。11月の発令時には国防総省が指定した企業を主な対象としていたが、その子会社も適用範囲に含めるようだ。中国企業の上場子会社は多く、今後株価指数からの銘柄排除、ファンド等による保有株処分といった動きが強まる可能性はあろう。2020年は他市場に比べ株価の出遅れが目立った香港市場だが、もうしばらくは霧の晴れない相場展開が続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)
一進一退の展開か
29日の中国・上海株式相場は3営業日ぶり反落。上海総合指数の終値は前日比18.2492pt(0.53%)安の3,379.0362ptだった。年末が近づきいったん利益を確定しようとする売りが優勢になった。電気自動車(EV)関連銘柄を中心に下げた。上海と深センの売買代金は合計で8597億元と、前日から2%減少した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで44億7100万元の買い越し。個別では、貴州茅台酒(600519)、京東方科技(000725)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが買い越しとなり、ハイクビジョン(002415)、宜賓五糧液(000858)、上海汽車集団(600104)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は一進一退の展開か。米中対立の影響が上値を抑える一方で、政策期待が支える流れが続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)