半日取引となった2020年12月31日の香港株式市場で、ハンセン指数は3日続伸。終値は前日比0.31%高の27,231.13ptだった。新型コロナウイルスのワクチンが主要国で普及し、景気が持ち直すとの見方から買いが入った。英製薬のアストラゼネカと英オックスフォード大学が開発したワクチンを英国が30日に承認するなど、先進国の相次ぐワクチン承認が買い安心感を支えた。手じまい売りが上値を重くしたものの、終値は2月以来、約10カ月ぶりの高値を連日で更新した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで56億9900万香港ドルの買い越しだった。
2020年12月31日の米株式市場は続伸。ダウ工業株30種平均は前日比196ドル92セント(0.6%)高の30,606ドル48セントと過去最高値を更新した。朝方は売りが先行したが、新型コロナウイルスのワクチン普及などで来年は景気が回復に向かうとの期待から買い直され、景気敏感株を中心に取引終了にかけて上げ幅を広げた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比18.280pt(0.1%)高の12,888.282ptで終え、年間では43.6%高と2年連続で上昇し、上昇率はリーマンショック翌年の09年以来の大きさとなった。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は続伸し、前日比24.03pt(0.6%)高の3,756.07ptと過去最高値で終え、年間では同16.3%高と、2年連続で上昇した。
本日の香港市場でハンセン指数はもみ合いか。昨年末の米株高が支えとなる一方で、米中対立への警戒感が上値を抑えそうだ。ニューヨーク証券取引所(NYSE)は1日までに、中国の通信大手3社(中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム))の上場廃止に向けた手続きを始めると発表した。今回の措置はトランプ米政権が2020年11月に米投資家による一部の中国株購入を制限する大統領令に署名したことを受けたもので、市場ではすでに警戒されていた材料であり、将来的には中国企業の香港回帰上場を促す流れにつながるものとなろう。一方で、国防総省が公表している「中国人民解放軍と関係が深い企業」リストに認定されている35社については、1月11日以降、米投資家はリストに入った個別銘柄や、そうした企業群に投資するファンドを原則購入できなくなるとされている。関連銘柄の動向への警戒が強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
個別銘柄の選別物色中心の展開か
2020年12月31日の中国本土株式市場で、上海総合指数は続伸。終値は前日比1.72%高の3,473.07ptだった。深セン成分指数も同1.89%高の14,470.68ポイントと続伸した。上海総合指数は小高く寄り付き、序盤に上げ幅を拡大。中国景気の堅調な拡大を見込む買いが幅広いセクターで先行した。朝方に発表された12月の中国購買担当者景気指数(PMI)は、製造業PMIと非製造業PMIがともに前月から下落したものの高い水準を維持。前日に中国と欧州連合(EU)が投資協定を結ぶことで大筋合意したことも、投資家心理を強気に傾けた。指数は終盤に一段高となり、終値は2018年2月5日以来ほぼ2年11カ月ぶりの高値となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで32億1800万元の買い越し。個別では、アイフライテック(002230)、宜賓五糧液(ウーリャンイェー・イビン、000858)、上海国際機場(シャンハイ・インターナショナル・エアポート、600009)などが買い越しとなり、ハイクビジョン(002415)、京東方科技(BOEテクノロジー・グループ、000725)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は個別銘柄の選別物色中心の展開か。中国の規制当局がモノやサービス価格への監視を強めていると伝わった。中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団などを対象にインターネット通販での不当な価格操作を禁じたほか、高級酒「貴州茅台酒」など白酒を対象に、巡回検査の重点対象とする企業などを拡充する方針のようだ。消費者や零細企業の不満に配慮する姿勢を示し、習近平指導部への支持を固めるのが狙いとされているが、関連銘柄への警戒につながる可能性は留意しておきたい。
(マーケット支援部 井上)