17日の香港株式市場は小幅続伸。ハンセン指数の終値は前日に比べ33.42pt(0.12%)高の26,415.09ptと、3月5日以来およそ8カ月半ぶりの高値だった。米バイオ医薬のモデルナの16日の発表を受けて、新型コロナウイルスのワクチン実用化への期待が高まった。世界経済が早期に回復するとの見方が相場の支えとなったが、前日に上げたハイテク株などに目先の利益を確定する売りが出て上値を抑えた。香港上場のハイテク関連30銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は4営業日ぶりに反落し、前日比1.76%安だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで4億8800万香港ドルの売り越しだった。
17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比167ドル09セント(0.6%)安の29,783ドル35セントで取引を終えた。朝方発表の10月の米小売売上高が市場予想を下回り、新型コロナウイルスルの感染拡大を受けた消費減速が懸念された。ダウ平均は前日に9カ月ぶりに過去最高値を更新し、目先の利益を確定する売りも出た。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比24.786pt(0.2%)安の11,899.343ptで取引を終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は反落して始まりそうだ。米株式市場の下落を受け、いったん利益確定売りが先行する公算が大きい。米証券取引委員会(SEC)が米国に上場する中国企業に対し、新たな規制を検討していることが17日、明らかになった、と米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたと伝わった。報道によれば、米当局の監督下にある監査法人が中国企業を監査するよう義務づけ、当局が監査内容を検査できるようにして、財務諸表の品質向上につなげるという。米国の基準に準拠しない場合は上場廃止の可能性も出てくると思われ、米中対立への警戒材料として捉えられそうだ。
(マーケット支援部 床井)
人民元高でメリット銘柄とデメリット銘柄を選別する動きが強まろう
17日の中国・上海株式市場は小反落。上海総合指数の終値は前日比7.0742pt(0.21%)安の3,339.8950ptだった。新規の手がかりに乏しいなか、これまで上昇が目立っていたハイテク株を中心に利益確定売りや持ち高調整の売りが優勢となった。ハイテク企業を中心に構成する上海の上証科創板50成分指数の終値は前日比1.11%安の1430.8084pt、深センの新興企業向け市場である創業板指数は同2.00%安の2658.092ptで取引を終えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで5300万元の買い越し。個別では、格力電器(000651)、ゴーテック(002241)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、宜賓五糧液(000858)、美的集団(000333)、上海汽車集団(600104)、中国中免(601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は、方向感に乏しい展開か。17日の上海外国為替市場で、人民元の対ドル相場は、一時6.5555元と、2018年6月下旬以来およそ2年5カ月ぶりの元高水準を付けた。中国人民銀行が朝方に人民元売買の基準値を約2年5カ月ぶりの元高水準に設定したほか、景気の回復基調が元相場の支えとなったようだ。人民元高は資金流入期待につながる一方で、輸出企業にとっては懸念材料とも捉えられる。メリットを受ける銘柄とデメリットとなる銘柄を選別する動きが強まりそうだ。
(マーケット支援部 床井)