16日の香港株式相場は4営業日ぶりに反発した。ハンセン指数の終値は前週末比224.81pt(0.85%)高の26,381.67ptと、3月5日以来およそ8カ月ぶりの高値となった。新型コロナウイルス用ワクチンの開発進展への期待から、米株価先物がアジア時間16日に堅調に推移し、投資家が運用リスクを取る姿勢を強めた。午前に発表された中国の10月の経済指標が景気の回復基調を示し、景気敏感株や内需株を中心に買いが優勢となった。ハンセン指数への採用が決まった美団(03690)、アンタスポーツ(02020)、百威亜太控股(01876)は投資資金が流入するとの期待から大幅高となった。半面、アリババ集団(09988)は下落した。傘下の金融会社アント・グループの新規株式公開(IPO)の延期によるアリババ株の急落で損失を被ったとして、米国の投資家が同社に損害賠償を求める訴訟を起こしたと伝わり、重荷となった。
中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで21億6400万香港ドルの買い越しだった。
16日の米株式相場は続伸した。ダウ工業株30種平均は前週末比470ドル63セント(1.6%)高の29,950ドル44セントで終え、今年2月以来となる過去最高値を更新した。新型コロナウイルスワクチンの普及で経済の正常化が進むとの期待が強まり、景気敏感株を中心に買いが優勢になった。ワクチン普及への期待が高まり、景気敏感株や業績面で新型コロナのダメージを受けていた銘柄が買われた。航空機のボーイングや石油のシェブロンなどが大幅高。映画・娯楽のウォルト・ディズニーや化学のダウも高い。クルーズ船や空運株にも買いが優勢だった。取引終了にかけて一段高となり、ダウ平均はほぼ高値引けとなった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も続伸し、前週末比94.843pt(0.8%)高の11,924.129ptと最高値を付けた9月2日以来の水準で終えた。
本日の香港株式市場は、ワクチン期待で続伸の展開か。感染の収束で迅速な経済回復への期待が高まったとして米国株式相場は大幅高となった。香港市場でもこの流れを引き継いで買いが先行しそうだ。
(マーケット支援部 床井)
続伸も、全体としてはもみあいの展開か
16日の中国・上海株式相場は5営業日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前週末比36.8646pt(1.11%)高の3,346.9692ptだった。国家統計局が16日発表した10月の中国の主要統計は、工業生産高が市場予想を上回る一方で、小売売上高は予想を下回った。強弱入り交じる結果だったが、中国の生産面の拡大が続いているとして、非鉄金属を中心に素材関連の上げが目立った。上海総合指数は徐々に上げ幅を広げ、高値で引けた。中国や日本など15カ国が15日に東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に署名したことを受け、域内の貿易拡大につながるとの期待が高まり、港湾など貿易関連株が買われた。空運や保険が高い。酒造株や食品関連株が買われた。半面、自動車株が下落した。電子部品関連株が安い。軍需関連も軟調だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで25億8900万元の買い越しだった。個別では、中国中免(601888)、上海汽車集団(600104)、格力電器(000651)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、ハイクビジョン(002415)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は、米国株高の流れを引き継ぎ続伸の展開か。新型コロナウイルスのワクチン開発の進展で景気が減速するとの見方が後退し、買い先行する流れとなりそうだ。ただ、高値ではポジション調整や利益確定の売りも出そうで、全体的に上値を伸ばしにくい展開となろう。
(マーケット支援部 床井)