15日の香港株式市場は3日続伸。ハンセン指数の終値は前日比92.48pt高の24,732.76ptと、3日以来の高値だった。取引開始後に発表された8月の中国の主要経済統計は、小売売上高が8カ月ぶりにプラスに転換したほか、鉱工業生産指数の伸びも加速するなど中国経済が回復基調にあることを示し、ハンセン指数は統計の発表後に上げ幅を拡大した。香港上場のハイテク関連30銘柄で構成する「ハンセンテック指数」も3日続伸し、同0.42%高。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで26億6800万香港ドルの買い越しだった。
15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸し、前日比2ドル27セント高の27,995ドル60セントで取引を終えた。米中の経済指標の改善が好感され、朝方は200ドル超上げる場面があったが、買いが先行したスマートフォンのアップルが午後に一時下げに転じると市場心理の重荷となり、相場は伸び悩んだ。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、同133.67pt高の11,190.32ptで終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は確りの展開か。米国市場ではアップル以外のハイテク株が堅調な動きとなっており、ハイテク株売り一服による投資家心理の落ち着きは香港市場にとっても支えとなろう。また、米中の経済指標の改善もプラス要因と捉えられよう。香港域内における新型コロナウイルス対策として営業を停止させていたバーやカラオケ店、テーマパーク、プールの18日からの営業再開許可も伝わっている。今晩の米FOMCを控え、様子見ムードの広がりも想定されるものの、戻り待ち売りをこなしながら底堅い展開が期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)
一進一退の展開か。人民元高が株式市場の下支え要因として意識されよう
15日の中国本土株式市場は3日続伸。上海総合指数の終値は前日比16.8657pt高の3,295.6795pt、深セン成分指数の終値は同121.467pt高の13,143.457ptだった。午前に発表された中国の8月の経済統計で、小売売上高が8カ月ぶりにプラスに転じ、消費回復への期待が相場の支えとなった一方で、景気が回復すれば、政府がこれまでのように積極的な金融緩和をしなくなるとの思惑から相場の先行きに対する慎重な見方が広がり上値は重かった。上海と深センの売買代金は合計で7254億元と、前日から6%減少し、連日で1兆元を下回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで33億2100万元の買い越し。個別では、長春高新(000661)、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、挌力電器(000651)、中国中免(601888)、三一重工(600031)、江蘇恒瑞医薬(600276)、海天調味食品(603288)などが買い越しとなり、京東方科技(000725)、貴州茅台酒(600519)、伊利実業集団(600887)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は一進一退の展開か。経済指標の改善による景気回復への期待が支えとなる一方で、金融政策に対する思惑が上値を抑えよう。対米ドルで人民元高が進んでいる。15日の上海外国為替市場で、人民元の対米ドル相場は4日続伸。元相場は一時、6.7771元と、2019年5月8日(6.7662元)以来およそ1年4カ月ぶりの高値を付けた。中国人民銀行(中央銀行)は朝方、人民元の基準値をおよそ1年4カ月ぶりの元高・ドル安水準に設定したが、その後発表された中国の8月の主要経済統計が良好な結果となったことで、元買い・ドル売りが優勢となっており、ファンダメンタルズの改善を素直に好感する動きとも捉えられよう。株式市場にとっては下支え要因として意識されそうだ。
(マーケット支援部 井上)