11日の香港株式市場は反発。ハンセン指数の終値は前日比189.77pt高の24,503.31ptだった。指数が前日に2カ月半ぶりの安値に沈んでおり、自律反発狙いの買いが優勢となった。米株価指数先物の上昇も投資家心理を改善させ、テクノロジー関連など成長株を中心に買い戻しが広がった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで23億6700万香港ドルの買い越しだった。
11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比131ドル06セント高の27,665ドル64セントで取引を終えた。株価指標面で割安感が指摘される景気敏感株が上昇し、指数を押し上げた。一方で、前日同様スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなど主力ハイテク株には午後から売り圧力が強まり、指数の重荷となった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比66.05pt安の10,853.55ptで取引を終えた。
今週の香港市場は底堅い展開を想定。新型コロナウイルスのワクチン開発への期待が再び浮上していることや9/15-16の米FOMCで金融緩和が継続されるとの期待が下支え材料となりそうだ。英製薬大手アストラゼネカは12日、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験(治験)を英国で再開したと発表した。副反応の疑いで世界で治験を中止していたが、許可を得られ次第、英国以外でも再開する見通しで、ワクチン期待の再浮上は、香港市場にとっても一定の安心材料となろう。今週は、15日に中国の8月主要経済指標が発表される予定。8月の天災による被害が懸念されていた中国経済だが、被害額は過去5年間の平均程度にとどまり、景気回復基調を大きくは損なわなかったようだ。先に発表された8月の乗用車販売台数は前年比8.8%増(7月同7.9%増)となり、輸出も世界景気の回復を背景に同9.5%増と高い伸びになった。15日発表予定の主要経済指標も中国景気の回復が順調なことを示す内容になると思われる。米ハイテク株相場の調整が続いており、積極的な上値追いは限定的と思われるものの、徐々に落ち着きを取り戻す週となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
主要経済指標の発表を境に景気回復期待が高まれば、下値の堅い展開が期待できよう
11日の中国株式市場は反発。上海総合指数の終値は前日比25.5227pt高の3,260.3461pt、深セン成分指数の終値は同200.103pt高の12,942.948ptだった。当局による投機的売買の規制強化を警戒し、10日までの2日間で6.3%下げていた深センの新興企業向け市場の「創業板」指数が11日は3日ぶりに反発。上海市場での新興ハイテク株売りも一服し、投資家心理が上向いた。深センの「創業板」指数は前日比2.15%高、上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は8営業日ぶりに反発し同2.52%高で取引を終えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで12億9100万元の買い越しだった。個別では、ラックスシェア(002475)、歌爾(002241)、分衆伝媒(002027)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、
江蘇恒瑞医薬(600276)、長江電力(600900)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、京東方科技(000725)、順豊HD(002352)、伊利実業集団(600887)、海天調味食品(603288)などが売り越しとなった。
今週の中国本土市場は値固めの展開か。中国人民銀行(中央銀行)が11日夕に発表した中国の金融統計で、8月末時点の人民元建て融資残高と「社会融資規模」はともに7月の実績と市場予想を上回った。旺盛な資金供給を背景に、今週15日に予定されている主要経済指標も良好な数字が期待できよう。外部環境の不透明さは上値を押さえそうだが、主要経済指標の発表を境に景気回復期待が高まれば、下値の堅い展開が期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)