10日の香港株式市場でハンセン指数の終値は前日比155.39pt安の24,313.54ptとなり、6月29日以来約2カ月半ぶりの安値を付けた。米中の対立激化に対する警戒感が根強く、指数への寄与度の大きい金融株の下げが目立った。午後に米株価指数先物が下げに転じると、香港市場でもハイテク株を中心に歩調を合わせた売りが出る展開となり、ハンセン指数は大引けにかけて下げ幅を広げ、この日の安値圏で取引を終了した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで12億7100万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比405ドル89セント安の27,534ドル58セントで取引を終えた。前日上昇したスマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株への売りが再び強まり投資家心理を冷やした。米上院で追加の経済対策法案が否決され、米景気回復が遅れるとの懸念が強まったことも投資家心理の悪化につながった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は前日比221.97pt安の10,919.59ptと反落した。
本日の香港市場は続落スタート後、様子見ムードの強い展開か。米株式市場が下落したことを受け、香港市場も売り優勢の展開となりそうだ。もっとも、米ナスダック総合株価指数の10日の日中安値は8日に付けた直近安値を下回っておらず下値を切り下げる展開にはなっていないこと、ハンセン指数先物の時間外取引もそれほど大きな下げとなっていないこと、来週の米連邦準備理事会(FRB)の追加緩和策への期待があることなどを考えると、安寄り後に大きく値を崩す可能性も低いと思われる。とはいえ、11日の米国市場の動向を見極めたいといったムードは強まりそうで、週末を控えて香港市場は動きづらい展開となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
落ち着きどころを探る展開か。中印の緊張緩和に期待
10日の中国本土株式市場は続落。上海総合指数の終値は前日比19.8045pt安の3,234.8234pt、深セン成分指数の終値は同118.905pt安の12,742.845ptだった。上海総合指数は7月28日以来約1カ月半ぶり、深セン成分指数は7月6日以来約2カ月ぶりの安値を付けた。朝方は前日の米国市場でハイテク株売りが一服したとの見方から買いが先行したものの、午後に入りハイテク株に再び売りが出ると地合いが悪化。指数は大引けにかけて下げ幅を広げ、この日の安値圏で引けた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで9億9900万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、京東方科技(000725)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、伊利実業集団(600887)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが買い越しとなり、順豊HD(002352)、海天調味食品(603288)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は落ち着きどころを探る展開か。新興市場中心に調整色を強める動きとなっており、本日もその流れが継続しよう。中国の王毅外相とインドのジャイシャンカル外相は10日、モスクワで会談し、両国軍が対峙する国境の緊張を緩和することで一致したと伝わった。中印は外交・軍事ルートの交渉とは裏腹に現場では緊張が高まってきた経緯があり予断を許さないとは思われるものの、事態収拾につながるか注目されそうだ。
(マーケット支援部 井上)