7月31日の香港株式相場は続落。ハンセン指数の終値は前日比115.24pt安の24,595.35ptだった。午後にかけて週末の持ち高調整の売りが優勢となった。朝方に発表された中国の7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回る改善をみせ、ハンセン指数は0.9%高まで上げる場面もあったが、買いは続かなかった。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は前日比7%減の1191億香港ドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで27億9300万香港ドルの買い越しだった。
31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発。前日比114ドル67セント高の26,428ドル32セントで終えた。30日夕に市場予想を上回る2020年4-6月期決算を発表したスマートフォンのアップルが10%高となり、1銘柄でダウ平均を260ドル程度押し上げた。
本日の香港市場は方向感に乏しい展開を想定。前週末の米株式市場が上昇したことを受け、香港市場も買い先行のスタートが予想される。一方で、域内の政治情勢や中国企業のサービスに対する米国の規制措置を巡る動きへの懸念は上値抑制要因として意識されそうだ。香港政府は、今年9月に予定していた立法会の議員選挙を新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年間延期すると発表した。民主派は、今回の選挙で過半数の議席獲得を目指していただけに、感染対策を口実とした先延ばしだと反発を強める可能性が指摘されている。また、ムニューシン米財務長官は8月2日、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画投稿サービス「TikTok(ティックトック)」について、膨大な個人情報が、中国当局に流出するリスクを懸念すると表明した。米国では、対中強硬派のナバロ大統領補佐官が、騰訊控股(テンセント、00700)が提供する対話アプリ「微信(ウィーチャット)にも断固たる措置を検討している」と明言するなど、米中対立が身近なアプリにも広がっている。本日は、日本時間10:45に財新7月中国製造業PMIが発表される予定。先週発表された政府版製造業PMIに続き、堅調な内容となるか注目されよう。好悪材料入り混じる中、方向感を掴みづらい展開となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
もみ合いか。世界的なハイテク株高の流れは好感も、米中対立の広がりは懸念材料か
31日の中国本土株式相場は反発。上海総合指数の終値は前日比23.1845pt高の3310.0065ptとなり、節目の3,300ptを上回り23日以来の高値となった。深セン成分指数の終値は171.028pt高の13,637.882ptだった。朝方発表された中国の7月の製造業PMIが3月以来の高水準となり、景気改善への期待が買い安心感につながった。ハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」が2.72%高となり、ハイテク銘柄への買いも支えとなった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで19億300万元の売り越し。月間では新型コロナウイルスの拡大で世界の市場が混乱した3月(1397億香港ドル)に次いで、過去2番目の大きさとなる909億香港ドルの買い越しとなった。個別では、ラックスシェア(002475)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、宜賓五糧液(000858)、歌爾(002241)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、伊利実業集団(600887)、三一重工(600031)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場はもみ合いか。世界的なハイテク株高の流れは本土市場でも好感されそうだが、香港市場同様、米中対立の広がりが懸念材料として意識されそうだ。
(マーケット支援部 井上)