30日の香港株式市場でハンセン指数は3営業日ぶりに反落。終値は前日比172.55ポイント(0.69%)安の2万4710.59だった。朝方は前日の米株高を手掛かりに買いが先行したが、午後に入ると香港内外での新型コロナウイルスの感染拡大などが嫌気され、売りが優勢となった。30日はハンセン指数先物の取引最終日で持ち高調整の売りも出やすかった。中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)が午後に下げに転じたのをはじめ、金融株や資源株、中国の不動産株などが下落した。この日の中国・上海株安も重荷となり、中国で事業を展開する消費関連株も下げた。ハイテク関連株で構成する「ハンセンテック指数」は小幅に3日続伸し、終値は0.17%高の7097.21だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで55億7800万HKドルの買い越し。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比225ドル92セント(0.9%)安の2万6313ドル65セントで終えた。4~6月期の米実質国内総生産(GDP)速報値が過去最大の減少となるなど米景気の不透明感が強まり、金融やエネルギーなど景気敏感株を中心に売られた。
31日の香港市場は売りが先行か。香港を含む各国で新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、景気の不透明感が投資家心理を悪化させそうだ。米商務省が30日発表した4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率換算で32.9%減と、統計がある1947年以降で最大のマイナス幅となった。31日の寄り付き前には中国国家統計局が7月の製造業購買担当景気指数(PMI)を発表する。米中対立の先鋭化も引き続き相場の重荷となると思われる。もっとも、中国政府が打ち出す経済対策や金融緩和への期待から、ニューエコノミー株や内需関連株が買われて相場を下支えする展開がありそうだ。中国共産党の中央政治局は30日、習近平総書記(国家主席)が主宰する会議を開き、現在の経済情勢を分析した上で下半期の経済政策を検討したとの報道も。
(マーケット支援部 松川)
全体として方向感を欠く展開か。
30日の中国・上海株式相場は4営業日ぶりに小幅に反落。上海総合指数の終値は前日比7.7301ポイント(0.23%)安の3286.8220pt、深セン成分指数の終値は同90.587pt安の13,466.854ptだった。午後にハイテク株を中心に売りが出て、指数もこの日の安値圏で引けた。中国政府が対外貿易と投資の開放を一段と進める方針を示したことを好感して朝方は買いが先行したが、節目の3300付近では利益確定の売りが出た。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は3日ぶりに反落し、前日比0.27%安だった。
香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は成約ベースで63億3800万元の売り越しだった。売買代金は上海と深センの合計で1兆937億元と、連日で節目の1兆円を上回った。
個別銘柄では、寧徳時代(300750)、歌爾(002241)、貴州茅台酒(600519)、中国平安(601318)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、ラックスシェア(002475)、宜賓五糧液(000858)、中国中免(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は全体として方向感を欠く展開か。香港GDPの縮小に続き、世界経済をけん引する米国のGDPが大幅に悪化したことはマイナスとなるが、米ハイテク企業の好決算はプラス材料だ。また、中国の政策期待も強まる状況。中国国営メディアが30日に報じたところによれば、習近平国家主席は「内需と経済を刺激する改革推進に力を入れる」よう呼びかけた。
なお本日は朝方に(日本時間10時ごろ)、今年7月の中国製造業PMI(国家統計局などが集計)が発表される予定。事前のコンセンサス予想では、前月の50.9をやや下回る50.8で着地するとみられている。
(マーケット支援部 松川)