香港市場
【5月回顧】月前半は下落、後半は緩やかな上昇
香港市場は、米国株安、中国当局の「ゼロコロナ」政策堅持や香港からの資金流出懸念などを背景に月前半は大きく下落した。ハンセン指数は10日、終値ベースで約2カ月ぶりの安値を付けた。ただ、後半は買い戻しの動きが強まり、緩やかな上昇傾向を辿った。香港ドルの対米ドル相場が許容変動幅の下限に達したため、香港金融当局は12日、約3年ぶりの香港ドル買い介入に踏み切った。
個別銘柄では、4月の新エネ車販売台数が前年同月の4.1倍となったBYD(01211)が上昇した。一方、冴えない決算を発表したテンセント(00700)は値を下げた。
【6月見通し】底値固めの展開か
6月の香港市場は、底値固めの展開となりそうだ。米金融引き締め加速への警戒感や中国のゼロコロナ政策による経済減速に対する懸念などは引き続き相場の重荷になる可能性は高い。一方で、値ごろ感からの買い戻しや中国当局の景気支援策に対する根強い期待感などは相場の支えとなろう。
需給面では、米長期金利の上昇が一服すれば、香港からの資金流出懸念は後退しよう。また、中国マネーの資金流入は続くと見込まれる。年初来、ストックコネクト経由で中国マネーの累計買い越し額は約1466億HKD(約2.4兆円)に上った(23日時点)。
3日は端午節で休場となる。
(5/24記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【5月回顧】戻りを試す展開、外資は売り優勢
5月の中国市場は戻りを試す展開となり、下旬にかけじり高となった。23日に上海総合指数は3,150pt、深セン成分指数は11,475ptまで上昇し、いずれも約1カ月ぶりの高値を付けた。4月の生産者物価指数(PPI)上昇率が約1年ぶりの低水準(前年同月比8.0%上昇)となり、景気刺激策への期待も浮上。中国人民銀行は20日、最優遇貸出金利(LPR)の5年物を4.60%から4.45%に引き下げ、金融緩和姿勢を強めたことも相場の後押し材料となった。一方、景気動向に敏感な海外投資資金の流出が目立ち、ストックコネクトの売越額は97億元(月初〜5/24)に膨らんだ(4月の買越額は63億元)。
【6月見通し】もみ合い推移か、自動車株に注目
深セン成分指数:10,500~12,500pt
6月の中国市場で各指数は上昇が一服し、もみ合い推移となりそう。インフラ投資の拡大に加え、上海の都市封鎖解除が進み経済活動の正常化が期待される一方、ゼロコロナ政策の継続に伴う景気減速懸念が引き続き相場の変数となり得る。個別株では、京東の「618セール」でネット通販が盛り上がる時期に当たるため、宅配大手の順豊控股(002352)などが物色されそう。4月から販売不振が続く自動車市場のテコ入れ策として、6月上旬にも「汽車下郷」政策が発表される見通し。自動車株の値動きも注視したい。3日は端午節の祝日で休場となる。
(5/24記:上海駐在員事務所 山藤)