香港市場
【3月回顧】ハンセンは約6年1カ月ぶりの安値
香港市場は、緊迫化するウクライナ情勢、国内経済の先行き不安や米当局の上場廃止警告による米上場の中国企業の急落などを背景に、月前半は大きく下落し、ハンセン指数は15日に19,000ptを割り込み、約6年1カ月ぶりの安値を付けた。その後、中国副首相による政策支援の示唆が好感され、急反発を見せた。サウスバウンド(中国本土⇒香港)経由の中国マネーの買い越し額は18日時点、約502億HKDに膨らんだ(2月は約46億HKDの買い越し)。
個別銘柄では、新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(09868)など成長株の下落が目立った。
【4月見通し】不安定な動きも底堅い展開を想定
4月の香港市場は、不安定な動きが続くかもしれないが、下値は限定的と考える。
ウクライナ情勢の先行き不透明感、中国における新型コロナの感染再拡大への懸念や世界的なスタグフレーションへの警戒感などは相場の重荷となろう。一方、ハンセン指数のPBR(株価純資産倍率)は0.87倍、PER(株価収益率)は8.1倍(3/18時点)と、世界の主要株式指数と比べてバリュエーション面での割安感が際立っている。値ごろ感からの買い戻しは相場の支えとなろう。
5日は清明節、15日は聖金曜日、18日はイースターマンデーで休場となる。
(3/21記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【3月回顧】上海は1年8カ月ぶりに3,100pt割れ
3月の中国市場で各指数は大幅安。上海総合指数は16日に約1年8カ月半ぶりの安値3,023ptまで売られた。深セン成分指数も同日、約1年9カ月ぶりの安値となる11,331ptまで下落。地政学リスクに敏感な海外投資資金の流出が目立った。外資によるA株売越額は592億元(月初~3/21まで。2月は39億元の買い越し)に膨らんだ。一方、中国政府が16日の会議で「市場に有利な政策を積極的に打ち出す」としたことが市場支援策の連想を呼び、投資家マインドが一時改善した。1日当たり売買代金(上海+深セン)は1兆元前後が続き、流動性は潤沢だった。
【4月見通し】一喜一憂か、下値リスクは限定的
深セン成分指数:11,500~13,500pt
4月の中国市場で各指数はもみ合い推移となりそう。ウクライナ情勢を巡る不透明感が引き続き相場の変数となる。また、新型コロナの感染再拡大を受け、1~3月期の中国経済統計(19日発表)で景気後退感が意識されれば、相場の重しとなろう。ただ、上海は3,000pt前後、深センは11,500pt前後で下げ渋る場面が見られるため、下値は限定的か。中国政府は感染流行を4月中旬に抑え込む目標を掲げている。順調に行けば5月の労働節連休を前に旅行やレジャー関連株に見直し機運も出てくるだろう。
4~5日は清明節関連の祝日で休場となる。
(3/21記:上海駐在員事務所 山藤)