香港市場
【8月回顧】米中対立の激化を嫌気、大きく下落
8月の香港市場は、トランプ米大統領の対中関税「第4弾」発動表明で、月初から大きく値を下げた。米国、中国を始めとする世界経済の減速懸念や米国株式市場の大幅安などで、ハンセン指数は15日に一時25,000ptを割り込んだ。その後、自立反発を見せたが、26日に米中貿易摩擦の再激化が嫌気され、ハンセン指数は大幅下落に見舞われた。
中間決算シーズンのため、個別物色の動きが見られ、好決算の舜宇光学科技(02382)が大きく買われた。また、バリュエーション面で割安感が強まったため、中国マネーの流入加速が見られた。
【9月見通し】ハンセン指数の下値は限定的か
9月の香港市場は上値の重い展開になりそうだが、下値も限定的と考える。決算シーズンが終わり、相場の方向を左右する材料としては、中国の経済動向や政策、米中関係、香港におけるデモ活動の進展などが挙げられる。9月17~18日に開催されるFOMCで米FRBの金融政策やそれを受けての米国株式市場の動向も重要となる。米中対立の長期化懸念などで香港市場の本格的な上昇には材料不足と見られるが、割安なバリュエーション、中国本土マネーの流入継続見込みが引き続きサポート材料となろう。
吉利汽車(00175)など5社が9月9日付でハンセン中国企業指数に新規採用される予定。
(8/26記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【8月回顧】前半は大幅安も後半に戻りを試す展開
8月の中国市場は、トランプ米大統領による対中関税「第4弾」の発動表明(8/1)を受け大幅安でスタート。上海総合指数は6日に一時2,733ptまで売られ、約5カ月半ぶりの安値を付けた。人民元の対米ドルレートが7元台まで下落したことも悪材料。一方、信用取引規制の緩和や、中国人民銀行(中央銀行)による新たな金利算出の開始(実質的な金融緩和)などが好材料視され、徐々に買い戻された。
貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが上場来高値を更新。海外投資家に人気で、貿易摩擦の影響を受けにくい内需株の買いが目立った。
【9月見通し】買い戻し継続、上海は節目回復へ
深セン成分指数:8,500~10,000pt
9月の中国市場で各指数は戻りを試す展開が続きそう。上海総合指数は節目の3,000ptを目指す動きになると見る。MSCI新興国指数やFTSEラッセル指数における中国A株の組み入れ比率引き上げで、海外資金の流入加速が期待される。一方、米中協議の行方で相場が一喜一憂する展開は変わらずか。
宜賓五糧液(000858)など中間期好業績銘柄を中心に物色が強まろう。中秋節(9/13)や国慶節(10/1)からの連休を控え、中国国旅(601888)など旅行・レジャー関連株の値動きも注視したい。
13日は中秋節の祝日で休場となる。
(8/23記:上海駐在員事務所 山藤)