香港市場
【7月回顧】方向感に欠ける展開
7月の香港市場でハンセン指数は、月末にかけて狭いレンジで煮詰まる動きとなった。1日の海外株高に対する出遅れ感から、休場明け2日は上昇スタートとなった。ハンセン指数は4日に一時29,000pt台を回復したが、3日以降5営業日続落。もっとも、下値は限定的で、その後は米中貿易協議再開や米利下げに対する期待感が相場を下支えた。
「逃亡犯条例」改正を巡る大規模抗議活動が7月も続き、香港経済と企業業績に与える影響が懸念されている。中国本土からの観光客が香港中心部を避け、マカオを選択する動きも出ているもよう。
【8月見通し】ハンセン指数は窓が支持・抵抗に
8月の香港市場は方向感を探る動きか。ハンセン指数は7月中ごろからの中段保ち合いを離れるか否かに注目が集まりそうだ。同指数は7月に続いて、5月の下落と6月の上昇過程で空いた窓が支持・抵抗水準として意識されよう。
相場の方向を左右する材料は中国の経済動向や政策、米中貿易協議などか。外部要因では米FRBの金融政策やそれを受けての米国株式市場の動向が重要となる。7月30~31日の米FOMCで利下げがあった場合、香港は通貨で米ドルにペッグ(連動)するため、香港域内の金利低下が期待される。その恩恵を受けるセクターが動意付く場面もあろう。
(7/26記:投資調査部 檜和田)
中国市場
【7月回顧】総じて軟調、換金売りやや膨らむ
7月の中国市場で各指数は軟調推移。下旬にやや戻りを試す動きを見せた。ハイテク新興企業向け「科創板」の開設を前に換金売りが目立った。上海総合指数は8日に2.58%大幅反落。22日には節目の2,900ptを下回り、約1カ月ぶりの安値を付けた。ただ、米中通商協議への期待感が相場を下支えした。
科創板の取引初日(22日)は、上場第一陣の25銘柄がいずれも大幅上昇。半導体研磨剤の安集微電子科技(688019)は公開価格比400.15%高。全体の売買代金は、メインボード(2042億元)の約24%に相当する485億元。活発な資金流入がうかがわれた。
【8月見通し】底堅い展開、米中協議と政策に注目
深セン成分指数:8,800~10,200pt
8月の中国市場で上海総合指数と深セン成分指数は底堅い展開となりそう。米中通商協議(7月末予定)で何らかの進展が見られれば、売られ過ぎ感のあるハイテク株が買い戻されるきっかけになろう。7月に開催される共産党の中央政治局会議では、昨年に続き内需拡大方針が打ち出される可能性もある。消費やインフラ株の動向に注目したい。
三一重工(600031)や歌爾(002241)など6月中間期での増益見通し銘柄も物色されるか。アイスクリームで中国最大手の内蒙古伊利実業集団(600887)など引き続きサマーストックも話題となろう。
(7/26記:上海駐在員事務所 山藤)