香港市場
【6月回顧】月末にかけて戻りを試す展開
6月の香港市場は月末にかけて戻り基調を強めた。米中対立への警戒感が売りを誘い、月初は軟調に推移。ハンセン指数は心理的節目である27,000ptを割り込み、4日の取引時間中に26,671ptの安値を付けた。その後は米FRBによる金融緩和期待などを買い手掛かり材料として相場は反転。
香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が大規模デモの発端、「逃亡犯条例」の改正案を事実上廃案にする方針を示し安心感を誘った。6月末に大阪で開催されるG20で米中首脳会談が実現する運びとなったことも投資家心理の改善につながった。
【7月見通し】上昇相場の継続を予想
7月の香港市場は上昇相場が続くと思われる。G20の結果次第では一時的な波乱もあろうが、相場への織り込みは進展していると推測される。米中問題に関して、米国による3000億米ドルの追加関税賦課の可能性を含め、既に5~6月に伝わっているためだ。
アリババ集団が香港取引所に上場を申請したと伝わっており、今後の動向に注目が集まろう。相場変動材料は15日発表予定の中国4~6月期GDPなど中国の経済統計結果と月末30~31日開催予定の米FOMCを巡る思惑か。ハンセン指数の予想レンジは、5月の下落と6月の上昇過程で空いた窓を考慮。
1日は特区成立記念日で香港市場は休場となる。
(6/21記:投資調査部 檜和田)
中国市場
【6月回顧】米中対立緩和で後半にかけて上昇
6月の中国市場で各指数は前半軟調も後半にかけて戻りを試す展開となった。上海総合指数は2,800pt近辺で下げ渋った後、徐々に買い戻され、21日には約2カ月ぶりに3,000pt台を回復。深セン成分指数も節目の9,000pt台まで戻した。1日当たり売買代金が6000億元超と大商いとなる日もあった。米中貿易協議の再開期待やA株のFTSEラッセルの指数組み入れを前に海外資金の流入も進んだようだ。
宜賓五糧液(000858)や中国国旅(601888)などが上場来高値を更新。貿易摩擦の影響を受けにくいとされる内需関連株の買いが目立った。
【7月見通し】買い継続、サマーストックに注目
深セン成分指数:8,750~10,000pt
7月の中国市場で上海総合指数と深セン成分指数は共に買いが継続しそう。6月末の米中首脳会談を経て貿易協議が再開すれば投資家マインドが改善されよう。5月に大きく売り越していた海外投資家が再び参入すれば相場の下支え材料になりそうだ。
10~13日には上海市で「中国国際ロボット博覧会」が開催予定。ロボット関連やAI技術などハイテク株の物色も進みそう。夏本番を迎えることでサマーストック銘柄の値動きにも注視したい。エアコンの美的集団(000333)や青島海爾(600690)、旅行関連では中国国旅(601888)などが対象か。
(6/21記:上海駐在員事務所 山藤)