海外勢の中国株投資が本格化するか
~景気刺激策と構造改革が進行、出遅れ感を修正する年に~
15年は海外主要株式市場と比較した出遅れ感を修正する年と思われる。中国A株市場とその玄関口となる香港市場へ投資資金流入が続くだろう。中国政府による経済運営の舵取りは厳しいものとなろうが、景気刺激策と構造改革の進行により成熟した経済への移行が確認されれば海外投資家の安心感を誘うと見られる。
【14年の相場回顧】証券市場の開放と金融緩和策が刺激材料となり年末高
14年は年末にかけて中国の主要株価指数が数年ぶりの戻り高値水準を回復した。その一方で、外部環境の影響を受けやすい香港市場は米金融政策や原油安、香港民主派団体による幹線道路占拠などが悪材料視され、ハンセン指数はもみ合い商状が続いた。14年も中国景気失速への警戒感が買い手控え材料として上値を抑えたが、4月に李克強首相が打ち出した上海と香港の株式取引の相互乗り入れ「滬港通」が多少の遅れを伴いながらも無事開始されたこと、11月末に中国人民銀行が2年4カ月ぶりの利下げを実施したことなどが相場の押し上げ材料となった。物色面では保険や証券、銀行などの金融株が年末にかけて強含む展開となった。
【15年の相場見通し】海外株式市場と比較した出遅れ感修正の年、上昇相場に期待
15年は香港市場でハンセン指数は22,000~28,000pt前後、H株指数は10,000~15,500pt前後、中国市場で上海総合指数は2,500~4,000pt前後での推移を想定する。香港市場は海外主要株式市場と比較した出遅れ感を修正する年となろう(P.7 「2014年各指数の推移」を参照)。「第12次五カ年計画」の最終年となるため、中国政府による計画目標達成に向けた様々な刺激策が期待できる。「新常態」下での構造改革も進行しそうだ。政府が掲げる「一帯一路」構想が具体化される可能性も高く、その関連銘柄への物色が予想される。中国人民銀行は15年にも利下げや預金準備率引き下げを実施する可能性が高いため、相場を後押しするだろう。拙速で運用が開始された「滬港通」に係る制度上の問題点改正も進展すると思われ、海外勢を中心に中国株投資が本格化しよう。深センと香港の株式取引の相互乗り入れ「深港通」(仮称)開始観測も相場の後押し材料。
2014年のハンセン指数推移(日足)と主な出来事
(投資調査部 檜和田)