上場企業の2020年決算発表が本格化する。ハイテクや白酒、金融、発電会社などの増益見通しが目立つ一方、航空や資源セクターの業績が不振だ。好業績銘柄はガイダンスの内容にも注目していきたい。
コロナ下でもしっかり稼いだ企業は?
中国企業の決算期は一部を除き12月。例年、2月下旬から4月にかけて決算発表が集中するが、その内容によって株価が反応することも多い。
業績好調銘柄が目立つのは深センA株。科大訊飛(アイフライテック、002230)は最大70%、立訊精密工業(ラックスシェア、002475)は最大55%の増益見通しを昨年発表済み。歌爾(002241)は速報ベースで122.94%増益だった。京東方科技集団(BOEテクノロジー、000725/200725)や大族激光科技産業集団(ハンズレーザー、002008)も大幅増益を見込む。各社とも新型コロナ下でのニーズをしっかり掴んだようだ。
中信証券(06030)や中国国際金融(CICC、03908)など金融セクターも好調。消費・内需関連では白酒大手が2桁増益を確保した。最大手の貴州茅台酒(600519)は10%前後、宜賓五糧液(000858)は14%前後の増収増益見通しで、瀘州老窖(000568)は最大30%増益を見込む。免税店業務が好調の中国旅遊集団中免(601888)は32.07%増益だった。
BYD(01211)は、新エネ車の販売好調や携帯部品の出荷増などを受け最大184.93%増益見通し。自動車販売が伸びた長城汽車(02333)は19.9%増益だった。重慶長安汽車(200625)は黒字転換見通し(純利益28億~40億元)だが、これは特別利益約66億元の計上によるもの。リチウム電池大手の国軒高科(002074)も純利益が最大1億7000万元に上るもようだが、特別利益の約4億元を引くと実質赤字だ。
オールドエコノミー株も一部復調してきた。原料炭価格の下落によるコスト低下を背景に、華能国際電力(00902)と大唐国際発電(00991)は200%近い増益見通しを発表。洛陽ガラス(01108)は太陽光パネル向けガラスの販売好調を受け最大530%の増益見通しだ。太陽光発電関連では隆基緑能科技(ロンギ、601012)も55.30~62.88%増益見通し。タンカー輸送で中国最大手の中遠海運能源運輸(01138)は純利益が最大6倍近くになるもよう。原油輸送ニーズの急増に伴う運賃上昇が追い風となった。
一方、業績不振に陥る銘柄も少なくない。新型コロナの影響をまともに受けた航空業界では、中国東方航空(00670)、中国国際航空(00753)、中国南方航空(01055)の大手3社がいずれも最大100億元以上の赤字見通し。映画館閉鎖のあおりを受け、シネコン大手の万達電影(002739)も赤字が拡大したもよう。石炭価格の下落を受け、内蒙古伊泰煤炭(03948/900948)は8億元前後の純損失を計上見込みだ。
平安健康医療科技(01833)が35.5%増収だったものの、為替損失を計上し最終赤字は9.48億元に拡大。金蝶国際軟件集団(00268)は赤字転落見通しだ。クラウドサービス事業への注力方針の下、販売ミックスや構造改革の影響が出たようだ。
(上海駐在員事務所 奥山)