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今月の特集記事【特集2】米中関係の悪化と株価への影響 ~米大統領選を控えるが影響は限定的か~

11月の米大統領選に向け米中対立の行方に注目が集まろう。基本的にはトランプ米大統領は米中関係の過度な悪化を望まないと考えるものの、選挙に向け米国が中国批判を強める可能性がある。ただ、18-19年の貿易摩擦時の株価の動きを検証した結果、香港のハイテク株を除き、中国株式市場全体では、大きな影響を受けなかった。このため、今後、米中関係が悪化しても株式市場への影響は限定的と考える。

大統領選に向け米国が中国批判を強める可能性

米中貿易摩擦は、米国の対中貿易赤字の拡大、中国経済の躍進等を背景に、2018年頃から表面化した。トランプ大統領は16年の大統領選で、中国製品に対する関税引き上げを公約に掲げ当選。実際、18年1月から追加関税を課し始め、19年には総額2500億ドルの中国製品に対し追加関税を25%とした。また、ハイテク分野の技術発展が中国の成長に寄与するとみられるため、中国のエレクトロニクス関連のハイテク企業を政府調達から除外、米国製品の輸出規制の対象とするなど、規制を次々と実施した。今年1月に米中が第1弾の合意で、中国が農産品を中心に2000億ドル相当の米国製品を購入することが決定されると、米中関係は安定。しかし、米国が新型肺炎で多大な被害を受けると、トランプ大統領は「中国ウイルス」と揶揄し、再び両国の非難合戦が始まり、米国は中国の通信機器大手ファーウェイ等への輸出規制を強化した。更に、5月の全国人民代表大会で中国が香港国家安全法の制定方針を決定すると、米国は香港の高度な自治の維持に対する懸念を表明、香港への優遇措置撤回の可能性を示唆した。

トランプ大統領は民主党バイデン前副大統領に支持率で大差をつけられていることもあり、11月の大統領選が近づくにつれ中国批判を強め、支持率回復を図る可能性がある。

米中貿易摩擦は中国市場全体では影響は限定的

図表1:中国市場の収益率と株価リスク

米中関係が悪化すると、中国株の収益率低下だけでなく、トランプ大統領の発言等により株式の値動きも荒くなると推測される。このため、米中貿易摩擦が強まった18-19年の中国株式市場の収益率(週間騰落率)とリスク(値動きの激しさ=週ベースの株価の標準偏差)を15年1月から20年6月19日までの数値と比較し、米中関係悪化の株式市場に対する影響を検証した。

主要指数の検証結果は図表1の通りである。香港と本土市場は共に収益率が若干下がったものの、リスクも概ね小さくなった。つまり、市場全体としては米中摩擦にあまり影響を受けなかったと言えよう。

香港ハイテク関連は米中関係の影響を受けやすい

個別銘柄については、香港市場ではハンセン指数の構成銘柄(49銘柄注1)を使い検証した。結果は、18-19年に平均収益率が15年以降を下回り(変化率が下位30%、以下同様)、かつ株価のリスクが高まった(上昇率の上位30%、以下同様)銘柄数は6銘柄で、うち2銘柄がエレクトロニクス関連だった(図表2)。同指数の中でエレクトロニクス関連銘柄が2銘柄しかないことを考慮すると意義深い。また、香港での当社カバレッジ銘柄(現在17銘柄注1)のうち、同期間に収益率が下回りリスクが高まった銘柄は5銘柄。エレクトロニクス関連の3銘柄を含み、全てがハイテク・IT関連だった。香港上場のハイテク銘柄は米中関係悪化の影響を受けやすいかもしれない。

(注1)15年以降に上場した銘柄を除く

図表2:18-19年の収益率が15年以降を下回りリスクが高まった個別銘柄とその業種

本土市場のハイテク関連は業績がより重要

本土市場では、当社取り扱い銘柄75銘柄注1を検証した。18-19年に収益率が下回りリスクが高まった銘柄は6銘柄、うちハイテク・IT関連は3銘柄だった(取り扱い銘柄の中でハイテク・IT銘柄は15銘柄)。また、米国の規制対象となった上場6銘柄注2を検証すると、収益率が下回りリスクが高まった銘柄は杭州海康威視数字技術(002415)のみで、美亜柏信息(300188)は収益率が同程度でリスクが低下した。米中摩擦の本土市場銘柄に対する影響は限定的といえよう。ただし、当社が取り扱っているハイテク銘柄のうち同期間に収益率が低下した銘柄も多い。海外からのショックには耐えられたものの、企業業績の悪化等を受けて値を下げたようだ。本土市場では業績を重視したい。

(注1)15年以降に上場した銘柄を除く

(注2)杭州海康威視数字技術(002415)、浙江大華技術(002236)、科大訊飛(002230)、ZTE(000063)、厦門市美亜柏信息(300188)、海能達通信(002583)

米中関係の株式市場への影響は限定的と予想

中国経済が拡大し世界最大の米国経済に接近しているため、今後も米中で覇権争いが激しくなろう。特に、今年は米国では大統領選があるため、避けては通れないとみられる。ただし、中国の米国産農作物の購入は農業州でトランプ大統領への支持率を高めるとみられ、トランプ大統領は中国に配慮をせざるをえないだろう。米国は表面的な中国批判を繰り返すものの、中国との関係に決定的な亀裂を入れることはないと考える。このため、株式市場は米中の批判合戦で、香港のハイテク関連株を中心に値動きが荒い局面もあろうが、全体的には影響は限定的と予想する。

図表3:東洋証券カバレッジ中国主要ハイテク銘柄についてのコメント

(マーケット支援部 白岩)

(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)

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