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今月の特集記事今こそクールチャイナ! 物流現場で進む改革~ネットスーパー隆盛が後押し、拡大するコールドチェーン市場~

中国のコールドチェーン(低温物流体系)発展の必要性が叫ばれて久しい。これまでは、広い国土を貫く物流網構築の困難さや、有力企業や技術の不足などにより、特に生鮮品の円滑な流通に支障が出ていた。しかし、アリババや蘇寧、京東などが相次いでネットスーパー市場に参入。ここに来て、コールドチェーンの重要性が改めて見直され始め、業界全体が右肩上がりで拡大している。

国策の後押し

中国のコールドチェーン市場規模/冷蔵倉庫容量の比較

コールドチェーンの構築は中国の国家的戦略とも言える。2014年10月に発表された「物流業の発展に関する中長期計画(2014~2020年)」に同分野の強化方針が盛り込まれ、今年7月30日に開催された中国共産党の中央政治局会議でも、国家的な推進プロジェクトとして「都市農村コールドチェーン物流の建設」が挙げられた。この他にも、物流企業の支援策や、食品安全の保障や消費のグレードアップに絡めた関連政策なども公表されている。

中国のコールドチェーンの市場規模は18年時点で2987億元(約4兆4800億円。日本は17年時点で1兆5500億円程度、食品分野のみ)に上ったと見られる。前年比では約25%の拡大。今後も20%以上の成長を遂げ、20年には4698億元市場になると見込まれる。16年比で約2.6倍の規模。冷蔵設備総量は5238万トン(18年)と、日本の1320万トン(17年)の約4倍の規模だ。

政策的後押しに加え、コールドチェーンと補完関係にあるネットスーパーの台頭も見逃せない。16年にオープンしたアリババ系の盒馬鮮生(フーマー)が人気を博し、京東商城(JD)系の「7FRESH」、永輝超市(601933)系の「超級物種」、蘇寧易購集団(002024)系の「SU FRESH蘇鮮生」など類似店舗が続出。18年の市場規模は前年比52.2%増の2158億元(推定)。20年にはその2倍以上の4692億元市場になると見込まれる。前述のコールドチェーン市場とほぼ同じ規模だ。

一方、まだまだ成長の余地があるのも事実だ。冷蔵倉庫容量(立方メートル/人)で比較すると、中国の0.132という値は日本(0.315)の半分以下、米国(0.490)の3分の1以下となっている。中国の冷蔵車保有台数は18万台(18年)で、日本の20万台(17年)を下回る。

ネット系新興企業が物流網構築

コールドチェーン関連銘柄

10年ほど前、上海市内のスーパーの牛乳売り場では、常温保存可能なロングライフ製品が山積みになっていた。要冷蔵の牛乳は地場系の光明乳業(600597)のものくらい。背景には、コールドチェーンの整備がまだ進んでいなかったことがある。現在では、上海のコンビニエンスストアでも、内モンゴル自治区に拠点を置く内蒙古伊利実業集団(600887)の要冷蔵牛乳を見ることができる。

同業の中国蒙牛乳業(02319)は、京東商城(JD)グループの京東冷鏈物流と提携し、アイスクリームなど氷菓子の品質管理能力などを向上させている。広大な中国市場において、販路拡大のネックとなるのが物流だが、京東や蘇寧易購集団、アリババ(BABA)などの新興企業は、ネット通販の経験を生かしながら自前でコールドチェーンも整備中。食品製造企業や低温保存薬品を扱う医薬品企業が、ネット企業の物流網に「乗っかる」形での提携が今後さらに増えていくと思われる。また、順豊HD(002352)は、米物流大手のHAVIと提携し、コールドチェーン物流の合弁企業「新夏暉」を立ち上げるなど、物流業が"本職"の企業も存在感を強めている。

一方、冷蔵・冷凍設備を手がける企業としては、長虹美菱(200521)、海爾智家(600690)、海信家電集団(00921)などが挙げられる。四方科技集団(603339)や、空調設備メーカーの氷輪環境技術(000811)などの商機も広がりそうだ。

コールドチェーンの整備によって恩恵を受ける企業も多い。生鮮品に強みを持つスーパーチェーンの永輝超市(601933)はその好例となろう。前述のように、医薬品の低温輸送市場も拡大すると見られ、大手の江蘇恒瑞医薬(600276)などにメリットとして働きそうだ。

(上海駐在員事務所 奥山)

生鮮食品から医療へ

中国の生活水準が高まるにつれて、ロジスティックスの世界では"冷鏈物流"のウェイトが、従来に比べ格段に高まりつつある。コールドチェーンとは生鮮食料品等を産地から消費者まで所定の低温を保ったままで輸送する低温流通体系のことで、運搬や保管などの流通プロセスを途切れることなく繋げていくことから"冷たい連鎖"と呼ばれる。

中国で改革開放が始まった1983年当時、内陸部の北京では、庶民がエビやヒラメ、イシモチ等の海産物を自宅で食べる機会は、年に一度の春節くらいしかなかった。市内隈なく探せば冷凍物を手に入れることは可能だったようだが、冷凍技術が稚拙で、料理を作っても美味しくないため、誰も高い金を払って手に入れようとは思わなかったという。

その後中国は高度成長の時代に入り、高級レストランに行けば海産物が美味しく食べられるような時代となったが、コールドチェーンが生産地から自宅まで伸びるようになったのは。ごく最近の出来事だ。

最近では海産物、食肉、乳製品等の低温物流が注目されているが、今後は医療・医薬品、例えばワクチン製剤、輸血用バッグ、移植臓器等のコールドチェーンが注目される。

ひとの生命を預かる分野である以上、医療コールドチェーンには厳格な管理が求められ、流通業者のみが情報を握るブラックボックス化リスクを避けるために、IoT(Internet of Things)をこの分野に導入させ、温度管理履歴等を外部からもチェックできるような態勢をとることが社会的にも求められるようになるだろう。

(主席エコノミスト 杉野)

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