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今月の特集記事深刻汚染に政府が本腰、空気の質は改善中~ごみ問題で再脚光、中国環境市場の最新動向~

中国では大都市を中心にごみ分別が厳格化され、環境問題への関心が再び高まっている。大気、水質、土壌の汚染は深刻だが、習近平氏が国家主席に就任した2013年以降、規制強化が急ピッチで進んでいる。

ごみ問題の背後にある"不都合な真実"

今年6月、中国現地紙に「習近平主席、ごみの分別作業について重要指示」という見出しの記事が出た。上海では7月1日から「上海市生活ごみ管理条例」が施行され、中国初となるごみ分別違反への罰則も定められたが、それを前にした"指導"だった。

中国政府は2000年頃から北京、上海、深セン、アモイなど8都市をごみ分別収集試験都市と指定し、ごみ問題の解決を図ってきた。ただ、ルールが徹底されず罰則もなかったことから、取り組みは有名無実化。上海でさえ、つい最近までアパートの共同ゴミ箱は1種類のみ、というありさまだった。今回はその上海を皮切りに、20年までに全国46都市でごみ分別とごみ処理システムを完備させる目標が掲げられている。

中国のごみ排出量は年間4億トンで世界一の規模だ。排出量も毎年約8%ずつ増え続けている。ごみの約6割は埋め立て処分で、OECD加盟国全体の44%を大きく上回る(日本はわずか1%。いずれも13年のデータ)。中国では、資源ごみや有害物質などの分別が必ずしも徹底していないため、埋め立てによる水質や土壌への影響が長期にわたることが問題視されてきた。ごみ問題が他の環境問題の元凶の一つと言うこともできよう。

ごみ焼却場の増設が解決策の一つなのだが、これも思うように進んでいない。18年末時点で中国のごみ処理場は約1000施設あるが、これは日本の1120施設(18年3月時点)にも及ばない。増大するごみの処理作業は追いつかず、中国の600超の大中都市のうち、約150都市でごみ処理ができていないという報道もある。また、各地でごみ焼却施設の建設を巡る住民の抗議デモが起きており、今年7月には武漢市で1万人規模のデモが発生した。日本もかつて経験した「ごみ戦争」の様相を呈している。

進む法整備、増加する汚染対策費

環境汚染対策への投資額

中国は改革開放後、経済成長を最優先させる一方、環境対策は後手に回り、「大気」「水質」「土壌」のいわば"汚染3点セット"とされる問題が深刻化。そのツケが大きな社会問題となっているのが現状だ。

だが、近年は法整備がようやく進んできた。15年に「環境保護法」を25年ぶりに改正し、違反に対する罰則を盛り込んだ。「水汚染防止行動計画」(「水十条」)、「土壌汚染防止行動計画」(「土十条」)、「環境保護税法」も相次いで制定。17年には大気汚染が著しい京津冀エリア(北京市・天津市・河北省)において空気の質の改善を図る「藍天防衛戦」を開始した。その後も「碧水防衛戦・浄土防衛戦」など"防衛"という強い言葉を盛り込んだ計画が出された。

環境汚染対策への投資額は17年に9539億元に上り、00年の1014億元の10倍弱にまで膨らんだ。ただ、GDP比では1.15%(17年)に過ぎず、欧米の2.5%より低水準。伸びる余地はまだあると言えよう。

自動車排ガス基準の厳格化、大気汚染は改善中

環境関連銘柄

中国で特に対策を強化している分野は、悪名高い大気汚染だ。中国生態環境部は今年6月26日、「重点業界における揮発性有機化合物(VOCs)の総合対策法案」を発表。VOCsは微細顆粒状物質(PM2.5)とオゾン(O3)を形成する重要な要素とされ、人体にも健康被害をもたらすと言われている。大気汚染の元凶からつぶそうという考えだ。

第13次五カ年計画(2016~20年)では、20年までにVOCs排出量を15年比10%以上削減するという目標が掲げられている。VOCsの発生源は主に石油、化学工業、包装印刷、自動車などの産業からだが、中国政府は特に自動車分野での対策に注力中だ。

その中心となるのが排ガス基準の厳格化。01年に「国1」(国家第一段階機動車排ガス基準)を導入し、その後段階的に「国2」「国3」「国4」と基準を強化してきた。17年には全国で「国5」を実施。「国1」に比べ「国5」は排ガス規制を90%以上厳格化したという。今年は計画を1年前倒しして、一部地域で「国6」を実施し始めた。中国政府によると、これは世界で最も厳しい排ガス基準の一つになるとのこと。「国6」のうち、20年から全国で「国6a」(一酸化炭素(CO)排出量は「国5」比30%削減)、23年からは「国6b」(同50%削減+窒素酸化物(NOx)排出についても同42%削減)の適用を開始する。

これらの取り組みで、数字上は中国の大気汚染は改善している。18年において中国74都市のPM2.5平均濃度は13年比で42%低下。二酸化硫黄(SO2)についても同68%低下した。また、18年末時点でGDP当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は05年比で45.8%減少し、20年までの削減目標(40~45%削減)を2年前倒しで達成。酸性雨の被害面積は10.6%(13年)⇒5.5%(18年)に減少した。

課題は山積みだが、以前よりはだいぶ改善してきた中国の環境問題。政府も本腰を入れて各種対策を打ち出している。環境ビジネスの拡大も見込まれているため、環境関連株の動向を引き続きウォッチしていきたい。

(投資調査部 陳)

主席命令ごみを分別せよ

中国共産党の云うことは正しいが、どうも大げさでいけない。以下は6月3日の国営新華社通信報道。

習近平・中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席はこのほど、ごみの分類作業について重要な指示を出し、ごみの分類の実施は、広範な人民大衆の生活環境に関わり、資源の節約につながり、社会文明レベルにおける重要な体現でもあると強調した。

習近平氏は次のように指摘した。ごみの分別を推進するカギは、科学的管理の強化、長期的効果のメカニズム構築および生活習慣の育成の推進にある。よって、指導を強化し、土地の状況に応じた措置を講じ、それを持続的に推進するには、ごみの分類作業を細かくかつ着実に行い、根気よく取り組まなければならない。広範な教育指導の活動を展開するには、広範な人民大衆にごみの分類を実行する重要性と必要性を認識させ、効果的な督促・指導を通じて、より多くの人にごみを分類するという良い習慣を身に着けさせなければならない。(以下略)

中国の最高指導者の日常は正に諸事多忙。習主席は数年前に、「文明的な都市と農村を建設する」ために、"トイレ革命"を発動したことが一時話題となったが、今度は"ごみの分別作業"とは。

世界最大の人口を擁する中国が、深刻なごみ処理問題を抱えていることは事実だが、中国のネット上では「中国トップが、家庭の主婦がするようなことにまで容喙するのはいかがなものか?主席は以前にも食物の食べ残し禁止等も"重要支持"として発動したことがあるが、もっと米中貿易戦争の解決などの"更に重要な問題"に取り組むべきでは」といった意見も出ているようだ。

(主席エコノミスト 杉野)

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