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今月の特集記事【特集2】「科創板」が成立、新興企業の登竜門に~"中国版ナスダック"に高まる期待、証券市場活性化を後押し~

中国証券市場で今年一番の話題の「科創板(スターマーケット)」が6月13日に成立した。"中国版ナスダック"とされる同ボードには、ユニコーン企業や有力イノベーション企業の上場が見込まれており、上場手続きも中国で初めて「登録制」が採用される。中小企業や利益をまだ計上していない「赤字企業」も上場するなど"玉石混合"状態になりそうだが、証券市場全体の活性化後押しにつながると期待されている。

「赤字企業」も上場可

科創板は国家肝いりの政策の一つ。習近平国家主席が2018年11月に創設構想を披露し、それから約7カ月で成立にこぎつけた。8月上旬までに取引がスタートする見通しだ。

科創板ではIPO(新規株式公開)に際して米ナスダックのような「登録制」を採用する。従来の「認可制」では中国証券監督管理委員会(CSRC)が審査権限を握るが、不透明な審査過程や審査時間の長さが問題視されることもある。科創板は透明性を重視しており、上海証券取引所が企業へのインタビューなどを通じて上場作業を円滑に進める考えだ。

財務面での上場基準も緩和される。まだ利益を計上していない企業のIPOも可能となり、今後の成長が期待される有望スタートアップ企業などが上場予備軍に入ってくるだろう。

科創板の創設は、次世代情報技術(IT)、ハイエンド設備、新素材、新エネルギー、省エネ・環境保護、バイオ医薬などの新興産業の発展を支援すると共に、インターネット、ビッグデータ、クラウド、人工知能(AI)と製造業の融合を図ることが狙いだ。上場申請中の企業は125社を数えるが(うち、7社が承認済み。6月24日時点)、次世代IT・ハイエンド設備に分類される企業が全体の約7割を占めている。

米中貿易戦争で争点の一つとなっている半導体関連企業も目立つ。半導体関連部材を手掛ける安集微電子科技や、化合物半導体に欠かせないとされる「MOCVD(有機金属気相成長法)」装置を生産する中微半導体設備(AMEC)が上場申請している。AMECの装置は三安光電(600703)が採用するなど、大手企業の縁の下の力持ち的存在として活躍している。


「科創板と創業板」「科創板の業種別企業数」

既存市場の後押し材料になるか

米中貿易戦争の激化により、中国市場ではハイテクセクターを中心に次世代産業関連株の軟調な推移が続いている。この中での科創板の成立は、証券市場全体のテコ入れという思惑と、新興産業を資本面でバックアップしていこうという中国政府の強い意思が感じられよう。

新興ボードの"先輩格"である深セン市場の創業板(チャイネクスト)は、10年前の09年10月30日に取引を開始した。初日は買いが殺到し、上場第1陣の28銘柄が急騰。あまりの過熱ぶりに一部銘柄が一時売買停止に追い込まれる事態となった。1年ほど経つと「下火状態」となり、長期間にわたって相場低迷が続いたが、13年頃から再び買い優勢となり、15年にかけてはメインボードの指数を大きく上回るパフォーマンスを遂げた。成長性が期待される有望新興企業が多く上場するという市場の特性もあるが、「熱しやすく、冷めやすい」という中国人投資家の性格を如実に表していると言える。

この例に従うと、最初の5営業日は値幅制限がない科創板でも同様の取引過熱状態が再現されるかもしれない。当面はストックコネクトの対象外で、外国人投資家は参加できないこともあり、若干"荒れた"相場になることも予想される。一方、これに慣れた中国人投資家にとっては、資産形成の願ってもない好機到来とも言える。いずれにせよ、科創板でハイテク株を中心とした新興企業が盛り上がれば、既存マーケットの間接的な後押し材料になる可能性もあり、期待感を持って取引開始の日を待ちたい。


主要指数の推移

(上海駐在員事務所 山藤)

スター・マーケット誕生

1990年代から始まった中国企業の上場史を回顧すると、本土の上海や深セン上場ではなく、香港や米国など、中国本土外での上場を選ぶ傾向が強く、現在でもその流れが続いている。

本土市場への上場が嫌われる傾向にあるのは、時期によっては証券監督当局による上場の"許し"を得ることが極めて難しいためである。

中国では証券取引所や証券会社ではなく、政府の一部門である証券監督管理委員会が上場の可否や時期を決める。報道では「上場認可」と呼ばれることもあるが、中国のシステムは、認可でも、認定でも、承認でもなく、「実質的に禁止されている行為を、特定の条件の下で解除する」"許可制"に近い存在だ。

その証拠に、時価総額の大きな中国企業といえば、アリババ(NYSE:BABA)、テンセント(00700/香港)、中国工商銀行(01398/香港)などが思い浮かぶが、アリババはニューヨーク上場、テンセントは香港上場。中国工商銀行のみが香港と上海に重複上場している。

中国特有の厳しい規制が、本土株式市場の空洞化懸念を高めており、当局は資本市場改革の一環として、数年前から、実質許可制を改め当局関与を原則なくす先進国型の登録制を模索していたが、上海にスター・マーケットが誕生したことにより、行政の見えない壁がようやく打破されることとなった。

上海のライバルである深セン市場では10年も前から先輩格の"創業板(=ChiNext:チャイネクスト)"市場が存在しているが、中国最大の経済圏を有する上海に、より柔軟性の高い市場が誕生したことにより、これが中国ハイテク企業育成の追い風になると期待されている。

(主席エコノミスト 杉野)

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