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今月の特集記事景気減速の中で散見される持ち直しの光 ~政府は追加の景気刺激策を準備~


18年10~12月のGDP成長率は貿易摩擦の影響もあり、四半期ベースでは約10年ぶりの低い伸びにとどまった。しかし、12月は個人所得減税の効果から、小売売上高に回復の兆しがみえる。また、政府は足元で景気下支え策を強化。米中貿易協議も着実に進んでいるとみられ、3月1日に両国は合意に達しよう。仮に合意出来ない場合でも、政府はインフラ投資等で景気安定化に注力すると見込まれる。

10~12月は景気減速ながら下支え策の効果も

図表1:GDP成長率、鉱工業生産、サービス業生産

1月21日に発表された18年通年のGDP成長率は前年比6.6%増(17年6.8%増)と、過去28年間で最低の成長率となった。ただし、6.5%前後の成長という18年の目標は達成した。

18年10~12月の実質GDP成長率は市場予想(ブルームバーグ)と同じ前年比6.4%増(7~9月6.5%増)と、リーマンショック直後の09年1~3月以来の低い成長率となった。背景としては、世界的な景気減速と米中貿易摩擦等が挙げられよう。10~12月の輸出は4.4%増(7~9月11.6%増)へ鈍化した。10月に個人所得税減税が実施されたものの、貿易摩擦等への先行き警戒感から、消費拡大の効果は限定的であった。その中、政府によるインフラ投資を中心に投資の伸び率が高まり(固定資産投資:7~9月4.5%増⇒10~12月7.5%増)、景気を下支えした。

図表2:小売売上高

12月単月では、輸出が同年3月以来となる前年比減少となり、外需の弱さが示された。投資では、製造業の設備投資の伸びがピークアウト。しかし、インフラ投資が堅調に推移したうえ、小売売上高の伸び率はインフレ率を考慮した実質ベースで、2カ月連続で高まった。10月に導入された個人所得税減税等、景気下支え策の効果が顕在化しつつある。

政府は追加の景気下支え策を発表

19年に入り、政府は一段と景気刺激策を強化している。1月1日から実施された個人所得税控除の拡大に加え、①人民銀行は1月に預金準備率の1%ptの引き下げを実施(大手銀行:14.5%⇒13.5%)。②財政部は小企業に対する免税対象拡大等を発表し、19年の減税規模が18年実績(1.3兆元、GDP比1.6%に相当)を上回るとの見通しを示した。当初見込みのGDP比1%強から大幅に拡大した模様。③18年12月単月で政府が承認したインフラ投資計画は1.1兆元以上と報じられ、1~11月の固定資産投資全体の承認額8137億元を上回る。政府はインフラ投資を急拡大しているようだ。④自動車や節電型家電等に対する買い替え補助金の導入が発表された。

米中貿易協議の合意が最大の景気下支え策

図表3:固定資産投資の推移

1~2月も輸出減少が見込まれる。その背景にある米中貿易摩擦については、中国が積極的に対応策を発表し、米国も評価している。1月7~9日に続き30~31日にも米中貿易協議が開催され、両国は3月1日の協議終了期限に向けて詰めの協議を急いでいる。米中で合意が見出せない場合、米国は中国製品2000億ドルに対する追加関税率を現行の10%から25%へ引き上げるとしている。しかし、米国は18年末に、既に発動した25%の追加関税対象製品の一部を適用除外とした。対中関税引き上げは米国民生活に与える影響も大きく、2020年の米大統領選でトランプ大統領に不利に働くだろう。したがって、米国も合意を望んでいると推測される。

知的財産権保護等の分野で両国に隔たりがあると報じられるが、中国が構造改革の工程表を提示し大幅な譲歩を示すとみられ、3月には両国が合意に達すると考えている。その場合、政府が追加の景気刺激策を実施することと併せて、消費者や企業のセンチメントが改善し、景気回復のピッチが高まろう。

合意に達しない場合はインフラ投資で下支え

一方、合意に達しない場合でも、米国は交渉延長を受入れ、関税を引き上げる可能性は低いとみられる。中国政府は景気減速を回避すべくインフラ投資等を拡大し、景気安定に努めよう。成長目標は、18年の6.5%増から19年は6.0~6.5%増へ若干引き下げられる模様だ。ただし、19年は建国70周年でもあるため、政府は景気安定を最重要視するだろう。


(東洋証券亜洲有限公司 白岩)

楽屋裏から読むGDP成長率

2012年11月に第18回中国共産党大会が開催され、10年続いた胡錦濤政権は習近平政権に引き継がれた。胡錦濤時代に中国経済が大きく成長し、世界第2位の経済大国となったのは事実であるが、成長の陰で貧富の格差や環境悪化、腐敗現象の蔓延などが社会の宿痾となり、外にあっては日中関係の悪化等、当時の中国は正に内憂外患の状況にあった。

課題が山積する中、習政権は内外の諸矛盾を解決し社会の安定を保つために、統治の正統性を示す最大の徴証として経済成長を国民に約諾し、2020年にGDP総額を2010年比で倍増させ、同時に国民の1人当たり収入も倍増させる目標を打ち出した。目標を達成するには2011年から年平均7.2%の成長が必要となるが、当時の中国政府は、これまでの高度成長の実績から楽観視していたようだ。

しかし高度成長から"新常態"に成長パターンが変わる中、折悪しく足元の景気は下降局面にあり、倍増目標達成は決して容易な関門ではない。しかし目標未達成は習政権にとって絶対に許されない事態であり、ここから目標達成に必要な今年と来年の成長率が逆算して約6.2%と推測できる。

おそらく3月の全人代(日本の国会に相当)で、19年成長率は「6.0%~6.5%程度」という大まかな目標が李克強首相から提起され、最終的にはシナリオ通り6.2%程度の実質成長率で着地しよう。

でもこれは余り意味のある数値ではない。本来は成長率を5%台に落としても、過剰債務や不動産バブルの解消等、痛みを伴う改革を優先させるのが正しい長期的政策だが、国内の統御に確固たる自信を持てない現政権は失業増に伴う社会不安の昂進だけは何とか水際で食い止めたい考えであり、そのためにはインフラ投資、金融緩和、減税、消費促進策をはじめとする(効果は大きいが後遺症も無視できない)「特効薬」を最後の決と見做している。

野党のいない中国で党が断を下し、大号令を掛ければ数値目標の達成は十分可能だ、問題の先送りのツケは、習主席の任期にもよるが、本人もしくは後継者が負担することになるけど。


(主席エコノミスト 杉野)

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