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中国からの便り

第185回:強い愛国心が成功のカギ 国有企業で奮闘する若者

「国有企業は"鉄飯碗"(食べることには困らない)。入社できれば一生安泰」――。私が幼い頃、中国の親戚からよく聞かされた言葉だ。政府管轄下の国有企業は安定した職場で、比較的楽な仕事が多いとされる。また、手厚い福利厚生も大きな魅力だ。代表的なのは、マイホーム購入などに用いられる住宅積立金。企業と従業員双方で給与の一定比率を拠出して積み立てるシステムだが、この企業負担比率が民間企業に比べると高いという。上海市の規定では負担比率は給与の5~7%だが、国有企業だと15%に達することもあるよう。某通信キャリア大手で働く知人は「私たちはより国のために働いている。民間企業の2倍以上貰えるのは当然のことでしょう」と誇らしげに話す。

仕事が安定していて、待遇や福利厚生も悪くない。良いこと尽くめに見える国有企業だが、不平不満を抱く友人もいる。某大手銀行で働く彼は、仕事の効率についてよくグチをこぼす。曰く「普段の業務量は決して多くないが、週に数回ある党会(共産党員のミーティング)がツラい」。党に対する抱負などの精神論を語ることが多く、はっきり言って仕事との直接的な関係はない。参加者は党員のみ。彼が勤める支店では全従業員の約20%が党員で、社内ではエリート的な存在だ。党会において上司の目の前で様々なアピールをすることが今後の評価にもつながるため、圧倒的な熱量で話すメンバーも多いそう。1時間の予定が3時間超に延びることも日常茶飯事という。口下手のせいなのか、党会での評価がイマイチな彼は、「会議の間は手元の作業が放置されてしまうので、生産性を低くしている」と自虐的だ。

ちなみに、彼が2年前に入社した時、上司はよく「アント・グループには敵わない......。銀行の経営環境はますます厳しくなるから覚悟しておいた方がいい」と暗い顔でつぶやいていたという。ところが最近、同じ上司はなぜかポジティブ感にあふれているそう。銀行が力をつけてきたのか、それともライバルに何かあったのか。定かではないが、友人の効率性への不満を聞く限り、前者の可能性は薄そうだ。

これとは別に、「党建」というイベントが増え、心身の疲れが取れないと悩む友人もいる。党建は、国有企業や各地域の党支部などが行う愛国主義教育活動。革命聖地を訪れる研修旅行、いわば団体版の「紅色旅行(レッドツーリズム)」も党建の一環として行われることが多い。以前は1~2カ月に1回程度だったが、今年は中国共産党創立100周年ということもあり、1カ月に複数回行われることもあるという。

国有の某建築大手で働く彼は、7月上旬の週末に党建に参加。上海から高速鉄道で約50分の距離にある浙江省嘉興市を訪れ、1日がかりで「南湖革命記念館」などの革命聖地を回ったという。だが、うだるような暑さの中を歩き回ったせいで熱中症になり、次の日は会社を休んでしまったそう。何もそこまでやらなくても。「1回くらい休んでもいいんじゃない?」と言ってみたところ、「党員ではない私が休むと、なおさら今後の昇進が難しくなる」とバッサリ。彼は「党建は誰でも参加可能。しっかりアピールすれば、昇進時に党員になれるかもしれない」と続ける。国有企業で出世している人はほとんどが党員。社会人になると入党審査が厳しくなるとのことで、少しでも印象を良くして"ポイント"を稼ぎ、党員になるチャンスをつかみたいようだ。

必死に頑張る彼に「民間企業に転職する選択肢もあるのでは」と慰めの声をかけると、「いや。国有企業の生ぬるい環境に慣れてしまい、競争が激しい民間企業でやっていける自信がないよ」と力なく返された。なんだか複雑な気持ちになってしまう。

私の親戚には国有企業に勤める者が多い。先日、その一人に、私が党員になって国有企業に入るにはどうすればよいかと尋ねると、答えはズバリ「ほぼ不可能だね」。小学校から日本で育ったというバックグラウンドが影響してくるのかもしれない。

まぁ、いずれにせよ、友人の経験談を聞くと「国有企業はツラいよ」と感じるのも事実。党員になることも含め、イイとこ取りはなかなか難しいものだ。

(東洋証券上海駐在員事務所 山藤 秋男)

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