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中国からの便り

第184回:紅く染まる100周年「愛される中国」を目指して

6月20日、上海中心部の地下鉄駅名が変更された。黄陂南路が「一大会址・黄陂南路」に、新天地が「一大会址・新天地」にそれぞれ衣替え。いずれも「一大会址」が加えられた。これは、1921年7月23日から中国共産党第一次全国代表大会が開かれた建物(現在は博物館)。両駅はこの共産党誕生地の最寄り駅で、党の創立100周年にあわせてわざわざ変更されたのだろう。

「100周年のためならエンヤコラ」という声までは聞こえずとも、読み忘れてはいけない"空気"を感じる昨今の中国。街中では100周年を祝う看板や横断幕が目立つ。上海はそれほど多くないが、地方都市では紅い旗とスローガンを至る所で目にできる。私が田舎町で乗った路線バスの車内は中国国旗の「五星紅旗」で溢れていた。まるで運動会の万国旗のよう。農村部を舞台にしたバラエティ番組では、人気タレントが「貧困脱却は党の成果」という旨のセリフを繰り返す。テレビでも党推しの演出が明らかに増えてきた。

100周年のお祝いムードに加え、これを機に国威発揚を図る思いがひしひしと感じられる。共産党の聖地をめぐる「紅色ツーリズム」がにわかに人気を博しており、観光地に革命や長征の歴史を学ぶ市民が詰めかけている。6月17日には飛行士3人を乗せた宇宙船「神舟12号」が打ち上げられ、テレビは特番生中継で国家の一大イベントとして盛り上げた。新型コロナワクチンの接種回数は同20日に累計10億回を突破。ここに来て「5日間で1億回」のペースで接種が急速に進んでおり、中国の物量面とスピード面での強さが改めて認識されている。まぁ、100周年にあわせて「数の成果」を誇りたいのでは、といううがった考えも抱いてしまうが......。

一方、最近目立つのはさまざまな社会不安だ。中国では5月下旬以降、各地で無差別殺傷事件が頻発。児童や小学生を襲撃したり、車が通行人に突っ込んで死傷者が出るなど痛ましい事件が相次ぐ。6月16日には、広東省の台山原発で燃料棒の一部が破損し、冷却水内の放射線量が上昇したことが公表された。米CNNのすっぱ抜き(同14日)を後から部分的に認めた形になり、なんともバツが悪い。ちなみに現地では燃料棒うんぬんは大きく伝えられず、「CNNは誤報」と強調するニュースが多いため、この一件を正しく理解している市民は極めて少ない。

6月13日には湖北省十堰(じゅうえん)でガス爆発事故が発生。25人が犠牲になり、多数の負傷者が出た大惨事だ。国家主席がすぐさま「負傷者の救助に全力を挙げ、できるだけ早く原因究明と責任追及を行う」よう異例の重要指示を行うほどだった。一方、この指示はこうも強調する。「社会の安定を守り、党創立100年のため良好な雰囲気を作り出さなければならない」。はい。全ては100周年に帰結するようです。

「自信を示すだけでなく謙虚で、信頼され、愛され、尊敬される中国のイメージづくりに努力しなければならない」――。国家主席が5月末に行ったもう一つの指示だ。海外の批判に攻撃的に反論する「戦狼外交」は、国内では支持を得ているが、国際的には反中感情を高めている。この状況の打開を狙う好感度アップ大作戦。果たしてうまくいくだろうか。

その「愛される中国」を今後担うべき20~30代の若者の間では「横たわり族」が増えている。特徴は、物欲に乏しく、勤労や結婚、出産に積極的ではない点。日本の「草食系」「仏男子(ぶつだんし)」などの進化版とでも言えようか。端的に言うと、ガツガツしない若者。仕事上のストレス、家族のトラブル、経済的な困難などに飽き飽きし、頑張らない風潮に流れていく者も多いようだ。共産党政府側は経済成長の阻害要因になると見て警戒しているが、こればかりは政策で変えるのは難しいかもしれない。

いずれにせよ、中国は党創立100周年で盛り上がっている。しかし、これも通過点。101年目に当たる来年は、2月の北京冬季五輪、9月の杭州アジア大会など国際的イベントが相次ぎ、秋には5年に一回の共産党大会が予定されている。そして、2022年は日中国交正常化から50年となる節目の年。新しい中国のイメージが披露されるか、注目していきたい。

(東洋証券上海駐在員事務所 奥山 要一郎)

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