賃金インフレ鈍化が確認され米国に利下げの兆しか
3/18~22の米国株式市場は、一進一退の展開か。
注目された2月雇用統計で非農業部門雇用者数は増加したが、失業率は想定以上の上昇だった。平均時給の伸びも1月を下回ったことで、労働市場の過熱感は薄れつつあるようだ。今後は賃金の伸び鈍化を受け、インフレ圧力の低下が予想できよう。3月FOMC(3/19~20)での利下げは考えづらいが、パウエルFRB議長は利下げ時期を「そんなに遠くない」と位置付けている。実際、FF金利先物市場で1回分(0.25%)の利下げ確率を見ると、6月の利下げ開始予想は増勢を保っている。この先は経済指標の結果から物価の落ち着きと、景気の動向を確認しつつ利下げのタイミングを図っていくことになりそうだ。
3/18~21には技術カンファレンスである開発者会議(GTC)が開催され、主催のエヌビディア(NVDA)に注目が集まりそうだ。GTCでは新製品の発表が予想されており、新製品は技術的な観点から現行のH100よりもAIにおけるゲームチェンジャーとなろう。3/18のエヌビディアCEOによる基調講演の内容に注目したい。一方で株価は昨年末から約73%(3/11時点)上昇しているだけに、材料出尽くしの売りがハイテク株に広がることも想定しておきたい。
ナスダック100指数先物の投機筋ネットポジションは足もと約600枚の買い越しとなっているものの、1月には3万枚を超える場面もあった。投機筋のポジションの手仕舞いが進んでいることは認識しておくべきであろう。
(3/13記 投資情報部 岩井)